臨床心理学
臨床心理学についての覚書。
臨床心理学とは何か?
科学、理論、実践を統合して、不適応、障害、苦悩の成り立ちを研究し、問題を予測し、そして問題を軽減、解消することを目的とした学問。
臨床心理学、カウンセリング、心理療法の違い
臨床心理学 :心理学部に属し、認知行動療法を中心とする。実証的研究の裏づけ
を重視する。
カウンセリング:教育学部に属し、人間性を重視し、心理学にはこだわらない。比較的
健康度の高いクライエントの問題解決がテーマ。
心理療法 :精神分析などの特定の理論を前提として、その理論に基づく実践を目
指す。信奉する学派の理論と技法を習得し、それを適用することが重
視される。
異常心理
不安障害
不安感が中核症状である心理障害。
パニック発作を主症状とするパニック障害や、「強迫観念」にとらわれる強迫性障害、精神的身体的ショックが長い間心の傷になるPTSDなど。
解離性障害
その人の記憶、思考、感情、行動といった体験のまとまりが、すべて、あるいは部分的に失われる病態。
情緒的なショックにより記憶を喪失する解離性健忘や、多重人格など。
摂食障害
極端な食事制限や大量の食糧摂取と排出行為など、摂食の問題が含まれる精神疾患。
性同一性障害
身体的性別に明らかな異常がないにもかかわらず、反対の性に対する強く持続的な同一感があり、さらに自分のせいに対する持続的な不快感、またはその性の役割についての不適切感を持つ状態。
パーソナリティ障害
思考・感情・行動などのパターンが平均からいちじるしく逸脱し、社会生活や職業生活に支障をきたしている状態。
気分障害
感情が正常に機能しなくなった状態。1日中気分が落ち込むうつ病や、躁とうつが繰り返し現れる双極性障害。
統合失調症
顕著な妄想や幻覚、解体した会話や行動、周囲に対する無関心、感情の起伏の乏しさ、極度の興奮・多動や昏迷などの症状が現れる病気。
発達過程で生じる障害や問題
知的障害 :知的機能の水準の遅れ、そしてそのために通常の社会環境での日
常的な要求に適応する能力が乏しい。
学習障害 :定義が未確定。
注意欠陥/多動性障害:気が散りやすく、じっとしていられず、
順番や適切なタイミングが待てない。
他に虐待、不登校、いじめ、非行、ひきこもり、自殺。
理論モデル
クライエント中心療法
クライエント(患者)の成長可能性が最大限に開花するような場さえ提供されれば、クライエントは自然に心理的成長を遂げると考える理論。カウンセラーの仕事は、クライエントが安心してみずからの問題に取り組めるような場を提供すること。クライエントをありのままの状態で受け止め、「共感的理解」を示す。
精神分析
患者の無意識内に抑圧された感情を明らかにすることで、患者を治療する理論。
分析心理学(ユング心理学)
統合失調症者の症状の類型を神話の世界に見出し、創られた理論。
行動療法
不適応行動や問題行動も刺激に対する反応の学習によって形成され、治療も学習によって可能だと考える理論。
認知行動療法
刺激と反応の媒介要因としての認知概念を重要視し、不適切な認知を適切なものに置き換え、かつ行動療法の枠組みや技法も用いて治療をする理論。
家族療法
患者の問題行動や症状を、個人でなく家族の問題とみなし、家族の相互作用をみながら家族の中にある問題解決能力を探り引き出し、家族としての回復に目標を置く理論。
コミュニティ心理学
人と環境の両方に働きかけ、人と環境の適合性を高めることを目指す理論。
ナラティヴ・セラピー
自己について語ることが自己を構成するという観点に立脚し、新たな語りを生むことが新たな自己を構成することに通じると考える理論。セラピストは、クライエントとの間で新たなストーリーが生成される空間をしつらえる。
動作療法
心理療法を行うにあたって、クライエントの動作をおもな媒体として用いる心理療法。セラピストは、課題の実現に向けて努力するクライエントの動作のプロセスにおいて、彼が自分にとって必要・有効・有用な体験を経験・獲得できるように、適切な援助をする。
臨床心理士のなり方
臨床心理士になるためには、公益財団法人日本臨床心理資格認定協会の資格試験に合格することが必須要件となる。ただし資格試験を受けるためには、臨床心理士養成に関する指定大学院または専門職大学院の終了などにより、受験資格を取得する必要がある。