ストラクチャーから書く小説再入門 第19章
シークエルの「リアクション」の選択肢
シークエルの中心は「災難」に対する語り手のリアクションです。深い心理描写をするなら、ここがチャンス。人間的な側面を表現しましょう。
シーン部分で描くのは対外的なアクション。シークエル部分で描くのは、人物の内面の動きです。語り手の心理だけを書く時と、他の人物の心理も一緒に書く時があります。後者では行動やしぐさの描写、会話を使います。
読者を退屈させることを恐れずに
アクションとリアクション、どちらか一方に比重を置く場合もあるでしょう。理想的なバランスはジャンルや作品によって様々です。いずれにしても、読者を夢中にさせたいなら、アクションとリアクションの両方が必要です。
「人物の気持ちを詳しく書いたら読者は退屈するんじゃないかな?」という不安は捨てましょう。リアクション描写がない本を書いて読者を退屈させる方が問題です。
人物の内面を掘り下げ、どう感情が動くか探りましょう。彼らの本当の望みは何なのか、行動によって内面がどう変化していくかを考えて下さいね。
シークエルの「リアクション」の選択肢
シークエルの「リアクション」では感情、「ジレンマ」では、知性、「決断」では身体的なアクションが焦点です。「リアクション」では、出来事に対して反射的に感情が起きるでしょう。
人間の感情は多種多様。少し、例を挙げてみましょう。
- 高揚感
- 激情
- 怒り
- 困惑
- 落胆
- パニック
- 恥
- 後悔
- ショック
「災難」の内容と人物の性格に合ったリアクションをさせましょう。
シークエルの「リアクション」を考える時に
シークエル部分のリアクションが書けているかどうか、次の質問に答えて再確認して下さい。
- 直前の「災難」に対して反応しているか?
- 直前の「災難」の文脈と合っているか?
- 人物の性格に合っているか?
- 描写の分量に過不足はないか?
- 語りや地の文、アクション、会話などを使って強く表現できているか?
- 状況説明をしようとして、すでに読者が知っている情報を繰り返していないか?
リアクションを書けば大きな成果が期待できます。出来事が人物に与える影響を、内部の深いところまで探って下さいね。同時に、人物の性格が表れる反応を選んで下さい。