ストラクチャーから書く小説再入門 第21章
シークエルの「決断」の選択肢
人物の「決断」は、「シーン」のブロックの中で最も本能的に行われるものかもしれません。「ジレンマ」を経て「決断」すると、次のシーンのゴールが生まれます。ひょっとしたらジレンマに悩み続けて一生を終える人もいるかもしれませんが、それではストーリは動きません。よいストーリーはどんどん前に進みます。どんな結果を招こうと、人物に決断させるしかありません。
「決断」にも、ジレンマとの因果関係を持たせましょう。突拍子もない決断をさせてプロットを進めても、読者は納得しないでしょう。ジレンマがお、「夕食は何を作るべきか?」なら、具体的なメニューを決断させるべきです。「じゃあ、病院に行って献血しよう」ではつながりません。
長期のゴールと短期の決断
大きなジレンマは、一つの決断で解決しきれません。むしろ簡単にカタがつくものばかりだと、重みが出ません。「一難去ってまた一難」を軽いレベルで続ければ、ストーリーがこま切れになっているような印象が生まれます。読者はリアリティを感じにくくなってしまうでしょう。
そうした問題に対処するには「長期のゴールと短期の決断」を考えます。長期にわたって抱えていくジレンマやゴールと、その中で起こり得る多少の小さなジレンマを揃えてみて下さい。「どうすれば隣の女の子と結婚できるだろうか?」は長期的に抱える悩み。短期間で乗り越えられる小さなジレンマと小さな決断を作ってつなげると、話がばらばらになるのを妨げます。
ストレートな決断か、遠回りの決断か
人物がどう決断するかによって、プロットの行方が決まります。ありきたりの決断ばかりではつまらなくなりそうですね。奇をてらわず、面白くて意外なものを考えたいです。
「隣の女の子と結婚したい」なら、一般的な決断は「よし、デートに誘うぞ」でしょう。これでも面白い展開ができるでしょうから、悪くはありません。でも、さらに意外性を出したければ、何か違った決断をさせてもいいかもしれません。
「夜更けに窓辺で歌を歌おう」でもいいし、「彼女のことをきっぱり忘れてでも。しまおう」でもいいでしょう。あるいは、「彼女に近づくために、生活パターンを細かく観察するぞ」でも。
シークエルの「決断」の選択肢
「決断」ほど単純明快なものはありません。基本的な選択肢は次の二つだけです。
1 行動する。
2 行動しない。
シークエルの「決断」を考える時に
シークエルが書けたら、念のため、次の質問を考えて下さい。
1 その決断は、ジレンマから自然に生まれているか?
2 その決断は強いゴールを生み出すか?
3 長期にわたるジレンマに対して、小さな決断が解決の一歩になっているか?
4 「決断」で物事が安易に解決してしまっていないか? 誤った決断をしたり、ジレンマが解決したせいで新たな問題が生まれたりして、新たな展開ができているか?
5 「行動しない」決断をさせるなら、それがプロット上論理的であり、重要なステップになっているか?
6 その「決断」は、はっきり書き表すほど重要か?
7 「決断」で書いている内容がジレンマ、もしくは新たなゴールと重複していないか?