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ヨシヒロの読書ブログ

ヨシヒロの気が向いたときに読書記録をつけていくブログ(小説・文学・哲学・心理学・経営・経済・ビジネス)

図解雑学 フロイトの精神分析②

『図解雑学 フロイト精神分析』についての覚書。

精神分析とは?

ほかの心理学と異なり、「無意識」というものを前提に考え、無意識の中身や、意識と無意識の関係を、力学的に考える。心を病んだ人との対話から得られる知をもとに、哲学・文学など、さまざまな知を援用して、理論を打ち立てる。心の病の治療法であると同時に、その治療によって得られた知識をもとにした理論であり、その理論によって、人間の心の仕組みと働きを解明しようとする学問である。

心の病と治療法

フロイトの患者とその症例 

多くはヒステリー患者であり、からだには何の異常もないのに身体的な症状があらわれたり、うつ状態が続いたり、発作的にけいれんを起こしたりする。女性に多く見られた。フロイトは、彼女たちの病の原因は、無意識にあると考えた。

症状をつくる「抑圧」のメカニズム

人間は、いやな出来事、不愉快なこと、ショッキングな出来事に出会ったり、自分でも許せないような考えを抱いたりすると、それを忘れてしまうことがある。「忘れられたこと」は無意識の中に押し込められる。これをフロイトは「抑圧」と名づけた。

抑圧されたものは無意識の中に留まり、かならず戻ってくる。ただし、それは精神病の症状となって戻ってくるのである。症状から、原因となったもの、つまり抑圧されたものを探りあて、それを意識化する、つまり思い出すことによって、症状が消えるわけである。

治療を妨害する「抵抗」とその対処法

患者に、こころに浮かんだことや思い出したことなどをすべてを自由に話してもらう方法を、自由連想法というが、患者は、それがどんなに些細なことでも、どれだけ恥ずかしいことでも、思い浮かんだことをすべて隠さずに報告しなければならない。

しかし、患者は、思い出したくないことに接近すると、自分でも気づかないうちにそれを避けて通ろうとする。これが「抵抗」である。患者が抵抗を示すことこそ、患者が無意識の中に抑圧したものである。

治療中に起こる重要な現象「転移」

本来ある人物に向けられるべき無意識的感情が、それとは別の人物に向けられること。たとえば被分析者が若い女性で、分析家が年配の男性である場合、被分析者が父親に抱いていた感情を、分析家に向けることがある。この転移によって、被分析者が抱く無意識的感情は、症状と深く関わっている。その転移を分析し、解消していくことが分析治療なのである。

幼児性欲説

フロイトは、何人もの患者の女性たちに告白の内容として、幼児期に大人(父親かそれに近い人物)から、性的なことをされた、というものが共通していることに気づいた。しかし、実際にはそうした体験をした女性全員がヒステリーになるわけでもなく、ヒステリーの患者すべてにそうした体験があるわけでもなかった。そこでフロイトはその告白が、事実ではないかもしれないと考えるようになった。事実ではないとしたら、どうして複数の患者が同じような告白をするのだろうか? ひょっとしたら、すべての女性たちは父親と性的な関係を持ちたいという願望を抱いていて、告白は現実ではなく、そうした願望のあらわれではないか。願望が投影によって、「父親が私に性的なことを求める」と逆転してあらわれたのではないか、と考えるようになった。 

オイディプス・コンプレックス

幼児性欲説から、無意識的に、幼い男の子は、父親を亡き者として母親と結ばれたい、反対に幼い女の子は、母親を亡き者にして父親に結ばれたいという願望を抱くこと。