バフェットの財務諸表を読む力⑤
前書き
続いて『バフェットの財務諸表を読む力』の第五章から気になった部分を書いていきたいと思います。
永続的競争優位性を持つ企業の評価法する
エクイエティ・ボンドというウォーレンの革命的発想と実際の活用法
ウォーレンの言う”エクイエティ・ボンド”とは、元本保証型の株価指数連動債権のようなものだ。優良企業の株にたいする投資は、倒産のリスクがないため、元本が保証されているのにひとしい。そして、優良企業の株を保有しつづければ、株価に連動して投資価格が上昇するのはもちろん、1年ごとに、”利札もしくは利子”に相当するリターンを受け取れるのだ。
ウォーレンにとって永続的競争優位性を持つ企業の株は”エクイエティ・ボンド”と同じであり、永続的競争優位性を持つ企業の税引前利益は、債権の利札や利息と同じである。
実際、ウォーレンが買った優良企業においては、長期間にわたって1株当たり利益が上昇しつづけている。
1980年代末、ウォーレンは〈コカ・コーラ〉の株を買いはじめた。平均取得価格は1株あたり6ドル50セント、1株あたり税引前利益は70セント、1株あたり税引後利益は46セントだ。歴史的に見ると、〈コカ・コーラ〉の収益は、年率およそ15%で成長を続けてきた。
これらの数字を踏まえたとき、ウォーレンは次のように主張を展開できた。〈コカ・コーラ〉の”エクイエティ・ボンド”を買うことは、開始時の税引前利益率が10.7%(70セント÷6ドル50セント)の投資に6ドル50セントを注ぎ込むことと同じである。そしえ、開始後の利益は長期間にわたり年率15%で増加しつづける可能性が高い、と。
2007年、〈コカ・コーラ〉の1株あたり税引前利益は3ドル96セント、1株あたり税引後利益は2ドル57セントだった。企業向け長期金利の6.5%と、1株あたり税引前利益の3ドル96セントから、〈コカ・コーラ〉の”エクイエティ・ボンド”の収益還元価値を計算すると、1株あたり約61ドルという数字がはじき出される(3ドル96セント÷0.065=60.92ドル)。この場合でも実際、2007年の1年間、証券市場における〈コカ・コーラ〉株は、45ドルから64ドルのあいだで取引されていた。
ウォーレンは経験からつぎのような投資のルールを学びとってきた。永続的競争優位性を持つ企業を買っておけば、やがて株式市場が”エクイエティ・ボンド”の価値を再評価し、長期債券の利率から計算した収益還元価値と同水準まで株価を上昇させることになる、と。