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ヨシヒロの読書ブログ

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日本経済の救世主!? 『MMT(現代貨幣理論)とは何か』⑤

前書き

続いてMMTとは何か』の第三部の第七章について書いていきたいと思います。  

第三部 MMTから見た日本経済

第七章 日本は財政危機なのか

日本政府の純債務GDP比は、2018年には124.7%に達しており、赤字が続き、それ以前よりも赤字幅が拡大しています。ところが、それ以降の国債金利は上昇するどころか、最も高い時期にも2%を上回ることなく、世界最低水準を維持し続けています。

 

また、経済全体の物価動向を示すGDPデフレーターの前年比は、消費税増税という特殊要因があった1997年と2014年などの一部の都市を除き、1995年以降ほぼ恒常的なマイナス、すなわちインフレどころかデフレの状態が既に20年以上続いています。 

 

つまり、GDPに対する債務比率が世界最高水準の「不健全さ」に達しているはずの政府が、赤字収支を続けながらも債務不履行に陥ることなく、しかも世界最低水準の資金調達コストを享受しているのです。

 

さらに、大規模な財政ファイナンスまで行っているにもかかわらず、国内経済は世界で最もインフレから遠い状況にあります。こうした現実は、「財政赤字金利やインフレ率の上昇を引き起こす」という主流派経済学者の論理では到底説明がつかないものです。

 

対して、MMTであれば、こうした現実は容易に説明がつきます。

 

金利が低下しているのは、日本銀行国債を大幅に購入した結果にすぎません。また、インフレとは、国全体のモノやサービスに対する総支出額が最大可能な総生産量と比べて相対的に増加することによって生じる現象であり、財政赤字や政府債務の増加、あるいは財政ファイナンスの実施が原因ではないからです。

 

そして、MMTによれば、主権通貨国である日本の政府は、自国通貨建て無限の支出能力を有しています。すなわち、全て円建てで国債発行や借入れをおこなっている日本の中央政府が、自らの意思に反して債務不履行に陥ることはあり得ません。実はMMTに批判的な財務省も、過去には全く同様の主張を行っています。