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ヨシヒロの読書ブログ

ヨシヒロの気が向いたときに読書記録をつけていくブログ(小説・文学・哲学・心理学・経営・経済・ビジネス)

ストラクチャーから書く小説再入門 第4章

第4章 第1幕 パート1:登場人物の紹介

読者の心を掴んだら、本の最初の二〇~二五%で人物や舞台設定、危機を紹介します。

 

「そんなに紹介部分が長いの?」と感じる人もいるでしょうが、この先、本を最後まで読んでもらうためには最初の四分の一で基礎を敷かねばなりません。人物や設定を紹介しながら感情移入を促し、さらに深く引き込みます。

 

本の最初の二五%で、ストーリーに出てくるものは全て登場させましょう。

 

アントン・チェーホフの「第一幕で壁にピストルがかかっていたら、後の幕で発砲されなくてはならない」は有名な言葉ですが、その逆も真実。

 

後半で銃を撃つなら、その銃を第一幕で登場させるべきなのです。第一幕で読者に見せたものだけで残りが展開できるようにする。これが第一の仕事です。

 

次の仕事は、読者に人物を知ってもらうこと。彼らは誰? 性格は? ものの考え方(特に、作中で試されたり強められたりする信条)は?

 

人物を知ってもらったら、何が危険に晒されていて、何と対立しているかを見せながらプロットを進め、やがて大きな転機が訪れるという流れになります。

 

まず読者に人物のことを知ってもらってからプロットを発展させましょう。最初の二五%を紹介に当ててから物語に大きな転機を起こし、次に五〇%、七五%の地点でまた転機、というのが理想的なペースです。

人物を発見する

私がストーリーを考える時は、大抵、人物から始めます。その人が心のドアをノックして、開くとそよ風、時に疾風が吹き込んで、この感じ、ご想像頂けると思います。

 

その人に私は魅了され、その人のことをもっと知りたくなり、虜になってしまいます。恋に落ちるのと似ています。

 

嵐のようなその間、他の登場人物たちを忘れがち、しかし、いざ執筆となったらえこひいきは厳禁です。悪者含め、どの人物にも等しく愛を注がねばなりません。

 

なぜなら書き手の思いは言葉の端々に表れ、行間からにじみ出るからです。嫌いな人物を書く場合、読者はそれを感じ取るでしょう。その人物の視点で書く時も嫌悪の感情は取り去れず、リアリティは壊れてしまいます。

 

ある意味、作家は役者でもあります。人物の視点で書く時は、その人になりきらなくてはなりません。その人物を愛せなければ理解もできない。批判的に見下しながら書くことになりかねません。

 

表現者は創作上の人物たちと彼らの言葉を評価せず、ただ公平な観察者であるべきだ。(アントン・チェーホフ

 

主人公を好きになるのは造作もないことでしょう。しかし、その主人公でさえ、いやな一面を見せなくてはならない時もあります。

 

登場人物一人ひとりの心を深く探り、行動の理由を考えましょう。その理由を受け入れて「わかった」と言える気持ちになれないなら、まだ小説は書けません。

 

人物を知り、人として認めることができたら、大胆に書きましょう。はっきりと、遠慮せず。書き手は「こんなことしちゃ、だめじゃないか」と人物を叱る立場にいませんから。

 

判事が(人物を)裁けばいい。私の仕事は人物の人となりを見せることだけだ。(アントン・チェーホフ

 

素敵な人物が偶然に書ける時もあるでしょうが、そうでない時は仕方ありません。書き手の方から働きかけて、その人物を魅力的に、面白く作らなくてはなりません。単純な公式はないのだと思います。私たちにできるのは、文学や映画の実例に学ぶことです。

 

まずメモ用紙にあなたの好きな人物をありったけ書き出しましょう。次に、その人物たちが好きな理由と、印象に残る特徴を書き添えます。特徴は、できるだけ一語で簡潔に、後で自分の人物作りに当てはめられるように、一般的な言葉を選びましょう。 

 

この方法は、描きたい性質を多角的に把握するためのもの。求める人物像によってリストに上がる単語は様々でしょう。

 

全ての特徴を自然に溶け合わせることが大切です。「タフで、勇敢で、優しいヒロイン」でもいいでしょうが、人柄や経歴、動機と照らし合わせ、人格としてまとまりがあるか、また、見栄えのために無理やり加えたものがないか確認して下さい。

紹介が必要な人物は?

主要な人物が登場するタイミングは作品によって様々ですが、一般的に、主な登場人物は第一幕の終わりまでに全員登場させておきます。

 

例外もありますが、第一幕より後に初登場させるなら、あらかじめ計画を立てましょう。思いつきで新しい人物を投入すると、うまくいきません。

 

第一幕で紹介しておきたい人物を挙げておきます。

 

・主人公

なるべき早いうちに登場させ、「この人物の物語だから、ずっと注目しておいて」というシグナルを読者に送る。

 

・敵対者

主人公と同様、早めに紹介。主人公との対立関係を見せ、危機的状況についての伏線を張る。それが無理なら、少なくとも、存在をほのめかしておく。

 

・恋愛対象

ラブストーリーはもちろん、恋愛がサブプロットの場合も、主人公が思いを寄せる相手は早めに紹介。恋の行方を明らかにする必要はないが、相手が大事な存在だということは示しておく。

 

・親友、助手

登場しては消えていく脇役は、重要度がまちまち、作中ずっと主人公の傍にいる人物がいれば、プロットが最初に転機を迎える前に、簡単に紹介するとよい。

 

・師と仰ぐ人物

脇役の中で忘れがちなのが、先輩や師匠のようなキャラクター。役割の大小に合わせ、第一幕か第二幕のどこかで紹介するとよい。突然都合よく登場させず、前の方で存在に言及しておきたい。

 

人物紹介をするために、プロット展開を犠牲にする必要はありません。初めからドミノ倒しを意識してプロットを前進さてください。ただし、急いでアクションを詰め込まないように、人物の肉づけを行うチャンスをぜひ生かして下さい。

 

登場する人物や舞台設定によっては、紹介に複数のシーンを当てたもいいでしょう。一度に大勢を登場させなくて済み、それぞれの性格描写をするゆとりができます。

 

人物にふさわしい名前をつけ、外見が目に浮かぶよう描写をすれば、読者が「これは誰だっけ?」と迷うこともなくなるでしょう。

 

複数の人物を一度に紹介しなければならない時は、個性をはっきり描き分けること。

元ギャル女子高生、資産7000万円のOL大家さんになる!

前書き

今日は『元ギャル女子高生、資産7000万円のOL大家さんになる!』という本について書いていきたいと思います。

はじめに

ちょっと変わった(?)私の投資手法を簡単に説明しますと、首都圏近郊…それも自宅から一時間程度の地域に絞って、土地値以下の戸建やアパートを買っています。

 

まず「土地値で買う」ということは、その地域での相場以下で割安の土地を入手するということ…先に売却の出口を確保します。

 

そして、「無料」で手に入れた建物に必要なリフォームを施して、家賃を稼いでもらうのです。そのためには賃貸ニーズの調査も購入時にしています。

 

ある程度の土地値があれば、法定耐用年数を超えた築古物件でも融資が使えるのも強みです!

 

つまり、お手頃価格ながら融資を受けて買うことができて、そのうえで所有しても売却にしても、どちらにも利益が出ることを狙っています。 

第4章 なこ流物件購入術

物件調査に出向いた際、不動産業者さんに会ったときに自分の資産や年収をすべて正直に伝えます。

 

会ったばかりの人にすべてを言うのは抵抗あると思いますが、不動産業者の方は、「この貯金額と年収だったらこの金額までなら融資が組める」など、とても詳しく理解しています。それなので、正直に伝えたほうが、自分に合った買える物件を紹介してもらえる確率があがります。逆に正直に伝えないと、物件を紹介してもらえなくなります。

マイソクをチェックする

事前調査に入る前段階として、送られてきたマイソクちいわれる物件情報のチェックをします。

 

マイソクには物件の所在地をはじめ、その物件の土地と建物についての情報が掲載されています。建物は広さ、構造や築年数、間取りや設備です。ここで私がチェックするのは土地です。

 

【物件情報の見方】

建蔽率…これは土地の広さに対してどれだけの1階部分を建てられるかの比率を表しています

 

容積率…敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のことを言います

 

建蔽率オーバー・容積率オーバー…指定されている面積よりも大きく建っている建物のことをいいます

 

建蔽率容積率オーバーの物件は基本的に銀行融資が付きにくいです。

 

もし自分が、建蔽率容積率オーバーの物件を購入できたとしても、自分が売却するときに買い手がまた、銀行融資がつかなく売れなくなってしまう可能性があります。

 

・接道状況…建築基準法上の道路に面していないと建物の立て直しはできません。

 

きちんと接道に面しているか、建て直しができるか、確認しておきましょう。

 

建て直しが出来ないことを再建築不可というのですが、物件情報に最初から再建築不可と載っている場合があります。

 

再建築が出来ない物件の場合は、土地の価値がかなり下がるので、物件価格もとても低い場合が多いです。また再建築不可物件も売却の時に、苦戦しますので、1棟目では購入しないほうが良いです。

 

またマイソクに「土砂災害警戒区域」や「津波災害警戒区域」など捕捉で書いてある場合がありますので、そこも確認しておきましょう。

事前調査【価格】 物件価格が割安か調べる

まず物件価格が割安かどうか調べます。この相場の調べ方ですが、ホームズやスーモのボロ家であれば、その近くの土地を見て、どのくらいの値段なのかを確認します。

 

築古の主に築22年以降の木造物件の価格が割安か、調べ方を紹介します。

 

まず気になる物件の地域と値段を確認します。HOMESやYAHOO!不動産で、物件の近隣の土地の値段を検索します。

 

すると、100平米の土地が○○○○万円、300平米の土地が○○○○万円といった情報が出てきます。

 

一番近くにある土地や、平米数が近い土地から、大体の土地の価格を調べます。

 

しかしこれは、今売り出している価格で、実際にいくらで取引されるかはわかりません。

 

なので、確かな実勢価格というより、売り出し価格になります。

 

次に国土交通省の土地総合情報システムを利用します。

 

このサイトでは実際に過去の土地の取引で、いくらで売れたのかがわかります。

 

これらの情報を見て自分で調べたおおよその土地の価格と、気になる物件の売値が同じくらいのときは、第一段階クリアとなります。

 

調べた価格より、500万円や1000万円など、物件の3割ほど金額が高い物件の場合は、買うには割高な物件だと判断します。

事前調査【評価】 土地・建物の評価を計算する

①土地の評価を計算する

まず土地の評価の仕方です。またこれもインターネット検索をします。主に、「相続税評価額路線価」というものや「公示地価」というものを参考にします。

 

資産評価システム研究センターというところが運営している「全国地価マップ」というサイトがとても見やすくなっています。

 

このサイトで住所を入力すると、地図が出てきます。地図の上に「固定資産税路線価等」「相続税路線価等」「地価公示・地価調査」という文字があります。「相続税路線価等」をクリックします。

 

自分の検索したい物件が、接している道に書いてある金額を確認します。245Dなどと書いてあります。

 

その場合245というのは「1平米あたり24.5万円」ということになります。

 

また、角地の土地の場合は、接している道の価格で高いほうの価格で計算します。

 

そして、算出された価格にさらに1割かけます。「旗竿地」という、接している道路が少ない土地の場合は、一般的には3割ほど低く評価されます。

 

現在、私の基準は実勢価格、路線価を調べたうえで、なるべく路線価に近く、かつ実勢価格より低い物件を購入するようにしています。

 

その際に「何%でなくてはいけない」といった基準は設けていません。

 

土地値は一番重視していますが、賃貸ニーズや建物の状態、駅からのアクセスといった条件もあわせて総合的に判断しているからです。

 

②建物の評価を計算する

次は建物の積算価格の出し方です。

 

建物の積算価格=再調達価格×延べ床面積×(残耐用年数÷耐用年数)

 

という計算式になります。

 

再調達価格とは、建物を再建築した場合の価格のことをいいます。建物の構造によって、価格が決められています。

 

【建物の再調達価格】

・鉄筋コンクリート造(RC造)は20万円/平米

・重量鉄骨造は18万円/平米

・軽量鉄骨造は15万円/平米

・木造は15万円/平米

 

耐用年数とは、建物の構造によって、国に法定耐用年数が決められています。

 

【建物の法定耐用年数】

・鉄筋コンクリート造(RC造)は47年

・重量鉄骨造34年

・木造は22年

 

残存耐用年数とは、残りの耐用年数のことをさします。

事前調査【需要】 賃貸ニーズがどれくらいあるか調べる

物件選びでは、賃貸需要がある場所か調べてから買う必要があります。

 

まず一番に調べることは、物件の最寄り駅の乗降者数です。駅名でインターネット検索するとすぐに出てきます。私は、乗降者数が1万人以上いたら、物件をだれかしら借りてくれると思っています。もしあまりにも少ない場合は少し考えたほうがよさそうです。

 

また、年々乗降者数が減少しているときも、注意が必要です。そして、市や区の人口推移も調べておくといいでしょう。

 

このリサーチの際に私が参考しているのが、「見える! 賃貸経営」というHOMESのサイトです。

 

ここのサイトでは、買いたい物件の周りの賃貸をどれくらい検索されているか、どんな間取りを多く検索されているかなど、物件を買うときに参考になる情報がたくさん載っています。それなので、このサイトを確認しておくといいでしょう。

 

また、HOMESやSUUMOなどで、近隣の似た物件がいくらの家賃で出ているかを調べておく必要があります。

現地調査 4つのチェックポイント

物件を調べたり計算を行ったりした結果、「投資に見合う」と判断したら、実際に物件を見に行きます。

 

物件を見るときには、大きく分けて4つのチェック項目があります。

 

ポイント①アクセス

交通の便がいいかどうかを自分で確認します。

 

どれくらい駅から離れているか? 高低差があって歩くのは大変ではないか? 近所にスーパーやコンビニがあることもチェックポイントです。徒歩、自転車、車の交通手段なら日常で使えそうか確認します。そしてもし自転車なら、駅まで行ける距離の場合は物件の敷地内に自転車置き場があるかチェックします。

 

エリアが郊外や地方であれば、車社会となり駅は関係なくなりますので、この場合は駐車場があるかチェックします。

 

もし車を置けない敷地の場合は、近隣を歩いて月額駐車場を借りられる場所があるか調べます。

 

また吉野家などのチェーン店がたくさんある大通りが近くにあるかを確認してください。大手チェーンは必ず近隣の需要を調べてから出店するものです。大手の飲食店やショップがあれば、それだけ人が集まる見込みがある地域という目安になります。

 

ポイント②外観・外回り

築古物件によくありがちなのは、敷地内に放置自転車がたくさんある、雑草だらけ、なかには古いテレビなど壊れた電化製品が捨てられていることもあります。

 

こういった物の処理にもコストがかかりますので、「管理が悪いから買わない」のではなく、「キレイにするためには、どれくらいの時間とコストがかかるのだろうか」という視点でチェックするのがいいのかと思います。

 

ポイント③室内

その後空室がある場合は空室の中を見ます。

 

自分が住みたいか住みたくないかで判断してしまうのでなく、「どこを直せば住みたくなるのか」という視点がとても大切です。

 

そして空室のリフォームに大体いくらかかるかを考えます。ある程度、リフォームをこなせば、概算でも計算ができるようになりますが、はじめての場合はリフォーム業者さんに見積もりをとって工事費用を出してもらう必要があります。

 

ポイント④近隣のヒアリング

帰りに最寄りの駅や、買いたい物件から近い不動産の管理会社さんにいってください。

 

そして、買いたい物件の詳細を直接言わなくても、「こんな物件を買いたいのですが、賃貸需要はありますか?」と聞いてみます。

 

「大丈夫です!ぜひ管理会社にしてください」と言ってくれれば、基本的に安心ですが、もし「空室が埋まるかわかりません」などと言われたら買うのは辞めたほうがいい場合もあります。

 

調査の結果、買いたくないと思ったのなら、その理由を不動産業者さんへお話します。理由をしっかり伝えることで、次の物件を紹介してくれやすくなります。

たった4年! 学生大家から純資産6億円を築いた私の投資法

前書き

今日は『たった4年! 学生大家から純資産6億円を築いた私の投資法』という本について書いていきたいと思います。

序章 私が実践した「借りて増やす技術」

私は資産性を重視しました。資産とは、すなわち土地です。土地価格は下がる可能性がありますが、建物価格は経年により必ず下がり、最終的にはゼロになるのです。

 

土地は更地が最も価値が高いとされています。建物が建っていると解体費用がかかるからです。田舎の土地価格が安い地域のマンションは土地価格よりも建物解体費用が上回ることが多く、そうなると土地の価値は実質ありません。建物への投資となります。

 

土地値よりいかに安く買うか、私はその点を重視した投資をしています。

 

売却までの長期的なトータルでの利益を追求し、そのために、市場価格よりも安く不動産を買い、毎年の賃貸収益に加え、不動産価格の含み益を得ることを常に考えながら投資しています。

 

本書では、不動産投資において、この純資産をどのようにすれば増やせるのか、その技術を理論と実践を交えて解説していきます。どのようにすればたくさん借りられるか、そして、どのようにすれば割安に買えるか、この2点に特化した資産形成法について、詳しく説明いたします。どうぞじっくりとお読みください。

第1章 職業・年収も関係なし! 融資で資産を作りなさい

ポイントは、区分所有でも構わないので、まずは収益物件を手に入れることです。そして、不動産賃貸事業者としての実績を作ることから始めましょう。

 

「属性」という言葉は、金融業界では、本来「住宅ローン」の用語であり、事業性資金に対する融資審査とは何ら関係がありません。

 

事業性融資では、通常、事業者の財務内容が最重視されます。つまり、決算書等に基づく格付けです。

 

新規開業者の場合、決算書ができていなので格付けはありませんが、その場合には事業計画と、経営者や従業員の知識・経験・能力といったものから融資可否が判断されます。不動産賃貸業の場合、収益性の高い物件を購入すれば、自ずと良い事業計画になります。

第2章 不動産鑑定評価手法を活用! 賢い物件選択の仕方

必ず知っておきたい不動産の3つの評価方法 

前章でも述べたように、いわゆる属性があまり良くない人が融資を受けるには、事業者向けのローンを利用する必要があります。ただし、そのためには、最初は自己資金で区分所有等の比較的安価な物件を購入して、不動産賃貸業の事業実績を積んでゆくことがポイントです。

 

そして、晴れて事業のための融資を受けられる段階になったときに、私がお勧めする購入方法は中古の一棟アパートを土地価値以下で買うことです。

 

収益不動産の評価方法には、次の3つの種類があります。

 

①原価法

②取引事例比較法

③収益還元法

 

①の原価法とは、土地を「単価×面積」、建物を「建物単価(新築時の単価)×面積×現価率」で計算し、両者を足し合わせて評価する方法です。この原価法により求められた価格を「積算価格」といいます。

 

②の取引事例比較法というのは、土地の取引事例に着目し、同様の不動産が土地面積当たりいくらで売買されているかを比較して、評価をするものです。取引事例比較法で求められた価格を「比準価格」といいます。

 

③の収益還元法とは、不動産が生み出す収益に着目して、不動産の価格を算出する方法です。収益還元評価により求められた価格を「収益価格」といいます。

計算式は簡単で、「年間収益÷利回り」です。例えば、年間の家賃収入から固定資産税等の経費を引いた純収益が240万円で、利回りを10%とすると、収益還元法では2400万円(=240万円÷0.1)の収益価格となります。

 

収益不動産の売価を決めるのに、積算価格を採用するか、収益価格を採用するか、あるいは、両方を採用して按分するのかは、売主や売主側の仲介不動産会社の自由です。

 

買う側にとって得なのは、収益還元法で適切に値付けされた物件が、積算価格よりも安く売り出されている場合です。

 

このようなケースはめったにないだろうと思われるかもしれませんが、実は、中古収益不動産の売買市場では、積算価格が収益価格を大幅に上回ることが多々あります。

 

一棟マンションに比べれば、木造や軽量鉄骨の一棟アパートのほうがまだ更地にし易いので、土地の比準評価が高ければ、アパートの収益価格以上でも売れる可能性があります。

一棟アパート・マンションを土地値以下で買いなさい

屋外平置き駐車場付きで土地価値の高い中古アパートが、立ち退き、解体費用を差し引いた後の更地評価額よりも安く売りに出されることがあるのです。

 

不動産業は、不動産賃貸・管理業と不動産取引業に大別できます。短期転売を繰り返す不動産取引行為をするには宅地建物取引業の免許が必要であり、私を含め多くの投資家は宅地建物業の免許を持たず、不動産取引業ではなく不動産賃貸業を営んでいますので、中古アパートを買ってすぐに賃借人を出して、土地売りすることは法律上認められていません。

 

賃貸業に分類される投資では、将来建物が古くなり、土地として売却する時点で確実に転売益が出るとは言えませんが、購入段階で土地評価額よりも相当割安に買っておけば、将来の売却損のリスクが比較的少ない、ということは言えるでしょう。

アパートとマンション、どちらがお勧めか?

築25年の木造アパートで積算価格が建物ゼロ、土地5000万円 、合計5000万円、一方で収益価格が1億円という物件があるとします。

 

しかし、この物件の価値は本当に1億円もあるでしょうか。既に築25年も経っているのですから、あと20年経たない内に建物は使えなくなるでしょう。建物が使えなくなれば価値のあるのは土地のみであり、現在の土地価格が5000万円のものを、収益物件だからといって1億円で買う人がいるでしょうか。

 

ですから、収益価格を基本とし、かつ積算価格の範囲内が妥当な売却見込額だと考えるべきでしょう。そうすると、建物は年々価値が下がりますので、建物価格中心の物件は価格下落リスクが大きいと言えます。

 

そう考えると、土地価格以下の収益価格で買える物件を選ぶのが望ましい訳です。そうした物件はマンションよりもアパートに多いので、長期保有後の売却益を狙うのでしたら、マンションよりもアパートがお勧めです。

第3章 「業者価格」以下で収益不動産を購入する! 実践ガイド

買付け申込書は1時間かけて書きなさい

買付申込書を1件書くのに通常1時間位かけます。どうしてそんなに時間がかかるのかといえば、最後に「売主様へ」とか「買付希望額の根拠」といった形で、手紙のような長い文章を付けるからです。

 

売主がどういう人かは、仲介業者に聞けばある程度は教えてくれます。中古アパートを売るのは高齢の地主さんが多いです。そういう人に対しては、「私も売主様と同様にアパート経営をしており、売主様が長年大切にしてこられたこの建物を引き継いで賃貸経営を続けたいのでぜひお譲りください」と書き添えます。すべての売主が、高く売れれば誰に売ってもいいと思っているわけではありません。中には、賃借人が追い出されないかと心配したり、建物が取り壊されて土地が分譲されることを嫌ったりする地主もいます。

 

指値の理由として添えた文章を解説してゆきましょう。

 

①耐用年数から導き出した、ローンを組める期間と融資額

「本物件は平成5年築であることから、耐用年数の関係で個人向けアパートローンを4年程度しか組めません。そこから返済可能な融資額としては2000万円程度にしかならず、不足額の預貯金を持った投資家しか買えず、購入可能者が非常に限定されます」

 

ここ数年の間に、中古アパートへの耐用年数超えの融資をする銀行が減りました。そのため、個人向けパッケージ商品であるアパートローンではなく、法人として事業資金融資を受ける必要があり、そのためには事業実績を積んで金融機関と円満な取引関係を築いておかないと、銀行融資で中古アパートを購入することが難しくなってきているようです。実際には建物残存期間の長い物件と組み合わせて保有することで融資は受けられるのですが、それを知っている投資家はあまりいません。そのため、中古アパート、特に 高額なものは、買主がなかなかいない状態です。

 

アパートの売主は地主が多く、不動産投資の融資事情を知らない人が大半でしょう。また、地主と親しくしている地場の不動産業者は、収益不動産の仲介をあまりやっておらず、融資事情を知らない場合が多いのです。大手仲介業者でも、街の営業所は自己所有物件の取り扱いが中心であり、収益不動産に不慣れな営業マンが実は多いのです。

 

ですから、売主側に、アパートローンが使えない物件であり、「この機会を逃すと買ってくれる人はいなくなりますよ」というメッセージを伝えるのは有効です。

 

②収益還元法から導き出した評価額

「満室可能な想定賃料を各室月額6万円として、表面利回り11%で計算をしました。この地域の中古アパートの売買の成約価格は、表面利回り12%程度のことが多いと思われます。仮に預貯金を豊富に持っている投資家から買付申込が入っても、1億円を超える水準にはならないことと推測いたします」

 

たいていの地主は、収益還元法という考え方を持ち合わせてはいないでしょう。土地の相場が坪いくらで、建物の残存価格がいくらあるという積算価格で考えているはずです。しかし収益不動産の売買は収益還元法で価格が形成されますので、それを説明すべきなのです。

 

「一般的には表面利回り12%だけれども、私ならば11%で買いますよ」とほかの投資家よりも売主に有利な条件で買うことを示したわけです。

 

そうはいっても、地主は土地の価値にこだわります。そこで、最後の決め手です。

 

③買主がかなり限定される現状と相場価格

「更地売却となった場合、敷地面積が広いことから買い手は建売業者等に限られ、現在の相場では1億円を超える価格での売買は難しいと思われます。立ち退き費用と解体費用がかかるため、買付申込額は1億円とさせて頂きます」

 

地主は自分が持っている地域の土地の単価がいくらだから、相場としてはこのくらいの金額だという判断をするでしょう。その単価というのは、戸建住宅用地として売り出されている土地の広告を参考にしていることが多いものです。

  

確かに100m^2前後の土地の相場は不動産業者の新聞折込チラシを見れば分かります。しかし、1000m^2もの土地を戸建用地として買う人はあまりいません。通常は建売業者等が買って転売するのです。

 

また、満室賃貸中のアパートを建売業や分譲業者が買うことはあまりありません。賃借人に出て行ってもらうのに時間を要するからです。

 

そのため、売主である地主は、立ち退き費用と時間をかけて入居者を退去させてから土地の市場価格よりも安い売価で建売業者・分譲業者に売るか、あるいは、利回りの出る値段で土地価格ではなく収益価格で投資家に売るかという選択をすることになります。

第4章 今でもフルローンが可能! 最新の融資攻略法

融資が円滑に進む、公的信用保証制度の使い方

地域密着型の中小金融機関に融資の相談をしに行くと、よくこんなことを言われます。

 

「信用保証協会付きの融資でないと受けられません」「保証協会の審査に通れば、お貸しできますよ」……。

 

信用保証協会とは、中小企業への資金調達をスムーズにするために設立された公的金融機関で、全国に52法人あります。47都道府県にそれぞれの保証協会が、そして、5市に市の信用保証協会があります。保証協会の審査に通れば、金融機関から事業者がお金を借りる際、保証協会が保証人代わりになってくれるので、金融機関は保証なしで貸すのに比べて安全に融資できるのです。

 

ただし、信用保証協会付きといっても、通常は、保証協会の代位弁済は残債の80%であり、万一の際、融資した金融機関が20%分を負担しなければなりません。これを責任共有制度といいます。

 

全国のほとんどの普通銀行と信用金庫は保証協会と契約しています。そのため、国内在住の中小企業であれば、一部の例外業種を除いて保証対象となり、金融機関を通して保証協会を利用できます。

 

保証協会への保証申し込みは、通常、金融機関を通して行います。保証協会に直接申し込む方法もありますが、相談は別として、申し込みは金融機関にすることをお勧めします。保証協会に申し込む場合でも融資金融機関を指定する必要があり、金融機関と話が出来ていないのに金融機関を飛ばして保証協会に申し込んでも、話が上手く進まない恐れがあるからです。

 

個人向けアパートローンを利用できる場合を除いて、他の金融機関では、「まずは保証協会付きから」と言われるのが通常です。ですから、高額購入案件以外の実績作りとして、保証協会付き融資を利用することをお勧めします。

不動産投資 最強の教科書

前書き

今日は不動産投資で最近評判がいい本『不動産投資 最強の教科書』について書いていきたいと思います。

はじめに

不動産投資の成功は「知識」と「努力」で決まる

うまくいっていない人に共通するのは、「知識がないこと」と「努力しないこと」です。

 

知っているか知らないか、努力するかしないかで結果が決まってしまうのが不動産投資の怖いところであり、醍醐味であるともいえます。

 

小さな失敗であればリカバリーは可能ですし、経験値として蓄積されますが、物件選択ミスなどの「大きな失敗」は一発で致命傷となり、不動産投資からの撤退どころか、人生の敗北者となることすらありえます。

第1章 はじめる前に本当に知っておきたい基本中の基本 

まずは心の準備をする

不動産投資はあまり儲からないと聞きましたが、本当ですか?

儲かる人もいれば、儲からない人もいるのが不動産投資の世界です。儲からない人の特徴は「儲からない物件」を買っていることです。

 

失敗するケースの典型は「儲からない物件を買ってしまう」ことです。

 

具体的には、次のようなパターンがあります。

 

①収益性の低い物件を買ってしまった

購入・融資条件等にもよりますが、収益性が低い物件を購入してしまうと、キャッシュフローが出にくくなります。

 

②客付けが難しい物件を買ってしまった

賃貸経営は、賃貸需要があってはじめて成立するビジネスです。ですから、賃貸需要ないエリア・物件を購入してしまうと、大変な目に遭います。

 

じつは、空室が多い物件や客付けが難しい物件は、高利回り物件として市場に出されることが多いものです。いくら高利回りでも、客付けができなければ絵に描いた餅です。

 

③大規模修繕コストを甘く見ていた

築古の高利回り物件によく見られるケースです。事実、購入後の突発的かつ想定外のリフォーム費や大規模修繕費に頭を抱えている不動産投資家はたくさんいます。

 

これを避けるためには、購入前に、経年劣化の程度、維持管理の状態、大規模修繕実施の有無などについて把握しておくことが肝要です。購入後に発生するかもしれない修繕費などを正確に予測することは難しいですが、これらを押さえておくだけでも、購入後の運営や資金繰りは違ってきます。

じっくりと計画を練る

リスクを避けるには、どうしたらいいですか?

不動産投資における最大のリスクは「無知であること」です。知識や情報を仕入れることが、リスク回避のための最強の手段です。

 

不動産投資のリスクとしてよく挙げられるのは、「空室リスク」「災害リスク」「大規模修繕リスク」「金利上昇リスク」「物件価値毀損リスク」「人口減少リスク」……といったところでしょうか。

 

たしかにこれらは不動産投資に関するリスクですが、やはり最大のリスクは、不動産投資家として知っておかなければいけないことを知らない「無知のリスク」です。

実際に準備をはじめる

超初心者ですが、まずやるべきことは何ですか?

まずは「知識武装」のために勉強することです。

第2章 誰も教えてくれなかった物件選びの本当のコツ

実践前の基本中の基本

収益物件を取得するまでの流れを教えてください

情報収集・物件調査からはじまり、買付けを入れ、金融機関から融資承認を受けて、契約に進みます。

 

収益物件を取得するまでの大まかな流れを整理すると、次の10ステップのようになります。

 

①情報を収集する

不動産ポータルサイトなどで、物件情報を収集します。

 

②資料を請求する

自分の投資基準に照らしてマッチする物件の資料請求を不動産会社にします。

 

③資料から物件を評価する

不動産会社から入手した物件概要書など、資料の内容を吟味します。この時点で、物件の積算価格および収益価格の簡易的な試算を行います。

 

④実際に物件を見に行く

よさそうな物件であれば、実際に現地まで足を運んで物件調査を実施します。自分の目で物件を確認し、現地の不動産業者に対象物件のヒアリングをします。

 

⑤買付証明書を出す

現地調査の結果、購入の意思が固まれば、不動産仲介業者を通して売主に対して買付証明書を提出します。指値や付加したい条件があれば、このときに伝えます。

 

⑥金融機関に融資を申し込む

買付けが通ったら、金融機関に対して融資審査を申し込みます。提出資料をあらかじめ準備しておくとスムーズです。

 

⑦売買契約を結ぶ

手付金を準備し、売主サイドと詳細条件を詰めたうえで売買契約を締結します。融資承認前であれば、必ず、融資特約をつけて売買契約を締結します。

 

⑧融資承認が出る

金融機関から融資承認が出ると、同時に融資条件(金額・期間・金利等)が知らされます。許容できる条件であれば、続く金銭消費貸借契約、決済に進むことになります。

 

⑨金銭消費貸借契約を結ぶ

金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。同時に抵当権設定契約書を締結する場合が多いです。

 

⑩決済する

買主は売主に残代金を支払い、売主は買主に不動産登記を移転する手続きを開始します。

 

初心者が最初の物件を購入するまでには、少なくとも数ヵ月~半年程度の期間が必要です。

ここが肝心!資料の見方

物件概要書をチェックするときのコツを教えてください

不動産の物件概要書には、物件名、住所、価格、築年数、構造、土地面積、建物面積、設備、利回りなど、重要かつ基本的な情報が記載されています。

 

私は、「①構造→②築年数→③利回り」の順にチェックします。

 

物件概要書を見るときに注意すべき点は、主に次の2点です。

 

①売却が難しい「違法物件」ではないか

容積率オーバー物件や既存不適格建築物、指定容積率建蔽率を超過しているなどの違法物件は、絶対に購入してはいけません。

 

そもそも違法物件は銀行に融資を断られることが多く、仮にノンバンクで融資を受けられたとしても、売却が難しく、出口が塞がる可能性が大きいので、避けるべきです。

 

違法物件は、「本物件は建蔽率容積率を超過しています」などと物件概要書に記載されているはずですが、備考欄に小さく表示されることが多いので注意しましょう。

 

②記載情報が正確とはかぎらない

物件概要書に記載されている内容や数字は、案外いい加減な場合が多いものです。すべて鵜呑みにせず、多少疑ってかかることも大切です。

 

とくに、支出項目については要注意です。

 

不動産業者は、利回りを大きく見せようと、収入項目についてはしっかり記載するのですが、支出項目については調査・概要書へ反映が疎かになることがあります。

 

また、水道代や町内会費が家賃込みの場合、これらを収入に入れて利回りが計算されているケースもあるので、注意してください。

 

記載情報が正確かどうかを確認するには、不動産会社に納得いくまで聞いてみることです。実際に物件を管理している管理会社にヒアリングできれば、事実が判明しやすいでしょう。

レントロール」はどこをチェックすればいいですか?

レントロールを見るときには、「日付」「入居偽装」「現家賃」「募集家賃」という4つの重要なチェックポイントがあります。

 

レントロール」とは、マンションやアパートを1棟買いする際、その物件の賃貸借条件が一覧できる書類のことです。各戸ごとに、どんな人がいくらの家賃で入居しているかなどが記載されています。

 

レントロールについては、とくに次の4項目についてチェックします。

 

①「日付」を見て、古い情報ではないか

入手したレントロールが最新のものであることを確認します。

 

稼働率を上げるための「入居偽装」はないか

「入居偽装」を見抜くためにも、次の点に留意しましょう。

 

  • 賃貸借契約書を入手して契約締結日を確認(直近の場合は要注意)
  • 管理会社経由ではなくオーナーとの直接契約になっていないか
  • オーナーと同姓の入居者がいないか(親戚などによる入居偽装の可能性)

 

③既存入居者の「現家賃」が割高になっていないか

割高な家賃は現行募集家賃の水準に引き直して収支計算しておかないと、購入後に痛い目に遭います。

 

④空室の「募集家賃」は適正か

売主は物件を少しでも高く売りたいので、空室の募集家賃を相場より高く設定していることがあります。③と同様、空室部分についても、現行募集家賃の水準に引き直してから収支計算しましょう。

物件の良し悪しを見抜く! 

物件を評価するにはどうすればいいですか?

「積算価格の算出」と「キャッシュフローの分析」によって、物件評価を行います。

 

「土地の価格」と「建物の価格」を合わせたものを「積算価格」といいます。

金融機関は積算価格を重視しますので、積算価格が出る物件が前提です。

 

①積算価格を算出してみよう

土地の価格=路線価×土地の面積

建物の価格=(再調達価格×延床面積×残存年数)/法定耐用年数

 

積算価格を算出し、販売価格とくらべて問題がなさそうなら、次にキャッシュフローの出る物件か否かを見極めていきます。

 

キャッシュフローの分析をしよう

たとえば次のような条件で、目標とするキャッシュフローが出るかどうかをシミュレーションしてみましょう。

 

  • 融資条件 フルローン、金利2%
  • 融資期間 残存年数(法定耐用年数-築年数)
  • 運営条件 稼働率90%
  • 経費率25%(固定資産税・都市計画税含む)

 

私の場合、この条件でキャッシュフローを算出し、投資可否を次のように考えます。なお、投資効率を評価するにあたって、わかりやすいように1億円換算で検討します。

 

  • 300万円/年 以上……超優良
  • 250万円/年 以上……優良
  • 200万円/年 以上……可
  • 200万円/年 以下……不可

 

実際に建物を見るときのポイントを教えてください 

物件調査では、「建物の外観」「室内の状態」「設備」「入居偽装」という4つのポイントを押さえておきましょう。

 

前項の評価で投資対象となることが判明したら、実際に物件所在地まで出向き、物件調査をします。

 

建物は目視のみのため、完全な調査はできません。ある程度の割り切りが必要です。

 

物件調査にあたって、留意したいのは次のような点です。

 

①「建物の外観」をチェックする 

建物が傾いていないか、外壁に大きなクラックがないかなどを、ざっくりチェックします。

 

②可能なら「室内の状態」をチェックする

内覧が可能なら、間取りや室内の状態を確認しておきましょう。ただし、内覧できない場合が多いので、必須ではありません。

 

③給湯器や室外機などの「設備」をチェックする

共用部分から 確認できるガス給湯器、エアコン室外機などに製造年月日が記載されている場合があるので、確認しておきます。耐用年数は10年ほどですから、交換時期が推定できます。

 

④「入居偽装」がないかをチェックする

電気メーターが動いているか、窓にカーテンがかかっているか、ベランダに洗濯物があるか、生活感があるかなどをチェックします。 

買付け・契約前に肝心なこと 

手付金はどれくらい用意すればいいですか?

とくに決まりはありませんが、売買価格の5~10%が手付金の目安です。

融資特約をつけるときの注意点を教えてください

「融資の申込先」「融資金額」「融資未承認の場合の契約解除期限」の3つを明確にしておくことが肝心です。

 

「融資特約」とは、予定していた融資が金融機関から承認されなかった場合、買主は不動産を購入する契約を解除して、白紙に戻すことができるという約束です。

価格交渉がうまくいきません。何かいい方法はありませんか?

価格交渉が難航しそうなときは、指値の根拠として、金融機関の事情を利用してかけ引きしてみましょう。

 

たとえば、売主の希望価格が5000万円であった場合、「○○銀行の担保評価額は4500万円でした。これでは満額融資がつかず、購入が難しくなるので、差額の500万円をまけてもらえませんか?」といった具合に指値をします。

法人で不動産投資をする 

法人化するなら、株式会社がいいのでしょうか? 

株式会社である必要はありません。低コストの「合同会社」をおすすめします。

 

最大のメリットは、何といってもコスト面です。

 

株式会社を設立……登録免許税15万円、定款認証費5万円

合同会社を設立……登録免許税6万円、定款認証費0円

 

また、株式会社には決算公告義務があるため官報掲載費(年間約6万円)がかかりますが、合同会社にはこの義務がないのでこれも不要です。

合同会社のつくり方を教えてください

合同会社の設立は、決して難しくありません。インターネットの設立支援サイトを利用すれば、必要書類が簡単に作成できます。

 

申請費用は次のとおりです。

 

  • 登録免許税……6万円
  • 定款印紙代……4万円(電子定款の場合は不要)
  • 印鑑製作費……1万円前後
  • 設立支援サイト利用料……数千円

 

設立支援サイトを利用して自分で行えば、設立費用は総額8万円ほどで済んでしまいます。法務局に足を運ぶことなく(すべて郵送でのやりとり)、1週間程度で簡単に会社が設立できます。

 

ちなみに、司法書士行政書士などの専門家に合同会社の設立を依頼すると、総額で15万円ほどかかります。

第3章 ここが肝心! お金を借りるための知恵と技術

初心者が知っておくべき基礎知識

不動産キャッシュフローって何ですか? 

不動産投資の世界では、ローン返済や経費を引いた「手残りのお金」のことを指します。

 

キャッシュフロー=年間家賃収入-年間ローン返済-運営経費等-空室損失

金融機関側はどのように物件の評価をするのでしょうか?

私たちが重視するのは「利回り」や「キャッシュフロー」ですが、金融機関は主に「積算価格」を重視します。

 

不動産鑑定士は、原価法による「積算価格」、取引事例比較法による「批准価格」、収益還元法による「収益価格」の3つを比較考慮して評価額を算出します。この価格のうち多くの金融機関が重視しているのは、原価法による「積算価格」です。

 

したがって、投資家であるみなさんも、金融機関に持ち込む前に、収益物件の積算価格を試算しておかなければなりません。

 融資の不安を解消する

何億円もの借金は怖くないですか?

①理論で頭の中を整理し、②実際にやってみて理解するというステップで、借金への恐怖がなくなりました。

 

①まずは「理論」で頭の中を整理した

満室の家賃収入を100とした場合、私は「ローン返済:40、運営経費等:25、空室損失:5」くらいで運営することを目標にしています。キャッシュフローは30ほどになるイメージです。

 

ここで着目すべきは「ローン返済:40」の返済原資は何で、誰が支払うかです。

 

収益物件の場合、返済原資は家賃収入であり、間接的にローン返済をしてくれるのは入居者です。

 

こう考えると、不動産投資家である自分がやるべきことは、家賃収入を100に近づけ、可能なかぎり経費を削るだけです。

 

私はこのようにキャッシュフローを可視化して頭の中を整理しているため、「多額の借金を抱えている」という心理的な負担はほとんどありません。

 

②次は「実際にやってみて」理解した

物件をうまく運営できるようになってくると、順調にキャッシュフローが貯まり出します。①で理解していたつもりでしたが、実際にお金が増えていくさまを見ると、想像以上でした。

 

「お金がお金を生んでくれる」ことを経験として理解した現在では、融資が受けられることは信用の証だと考えており、恐怖はまったくありません。

アプローチの素朴な疑問

どんな資料を準備すればいいですか?

「物件資料」「融資評価依頼書」「本人確認資料」など、事実にもとづく資料を過不足なく準備しましょう。

 

①物件資料

  • 物件概要書
  • レントロール
  • 法務局資料(登記簿謄本、公図、地積測量図、建物図面等)
  • 売買契約書(契約締結している場合)
  • 固都税明細

 

②融資評価依頼書

物件情報、物件概要、希望融資額、希望融資期間、借入主体等をまとめたもの

 

③本人確認資料

  • 経歴書(出身地、出身大学、職歴、保有資格、家族構成等)
  • 金融資産一覧表(預貯金、株式、保険、その他資産の一覧表。エビデンスを求められるため、預貯金の場合は口座番号や氏名が印字されている通帳の表紙と最終残高が記載されている最新ページ)
  • 身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証の両面コピー)
  • 源泉徴収票および確定申告書(直近3年分)
  • 住宅ローン(借り入れがあれば、金融機関発行の返済予定表)
  • 借家の場合(現在借りている家賃の額を申告)

④連帯保証人資料

  • 身分証明書
  • 源泉徴収票および確定申告書(直近3年分)

⑤すでに物件を所有している場合の資料

  • 保有物件一覧表(物件名、所在地、地積、延床面積、竣工年、構造、戸数、購入年、家賃収入、融資金融機関、当初借入額、融資残年数、返済方法、金利等についてまとめたもの)
  • 登記簿謄本
  • 最新レントロール
  • 固都税明細
  • 金融機関発行の返済予定表

⑥法人を所有している場合の資料

  • 法人の登記簿謄本
  • 直近3期分の決算書
融資がゆるくなる時期はありますか?

一般的に、金融機関の融資がゆるむ時期は、「決算期末(3月)」「半期待つ(9月)」そして「四半期末(6月、12月)」です。

 

金融機関に案件を持ち込むタイミングですが、3月、6月、9月、12月の融資がゆるむ時期に合わせ、少し余裕をもたせた1ヵ月ほど前の、2月、5月、8月、11月がおすすめといえるでしょう。

 

金融機関に案件を持ち込む「時期」を意識するのとしないのとでは、結果がまるで違ってきます。融資がゆるむ時期をねらうことをおすすめします。

独身ですが、融資は受けられるのでしょうか?

配偶者(連帯保証人)がいなくても、「団体信用生命保険の利用」「法人設立」といった工夫で融資を受けることができます。

 

個人で融資を受ける場合、金融機関は法定相続人の連帯保証人を求めてきます。そのため、連帯保証人がいないと融資を受けづらくなるのは事実です。

 

しかし、次の2つの方法であれば、連帯保証人なしで融資を受けることが可能です。

 

①「団体信用生命保険」を利用する

金融機関にもよりますが、団体信用生命保険への加入で連帯保証人が不要となる場合があります。

 

団体信用生命保険とは、ローンの借主が債務を弁済する前に死亡または高度障害を負った際、生命保険会社が残債務を弁済してくれる制度のことです。

 

団体信用生命保険が利用できるのはアパートローンのみです。

 

②「資産管理法人」として融資を受ける

資産管理会社を設立し、法人として収益物件を購入することで、配偶者の連帯保証なしで金融機関から融資を受けることが可能です。

 

自分が法人の代表者となることで、法人が主債務者、代表者である自分自身が連帯保証人になって融資を受けるのです。

第4章 がっちり稼げる!賃貸経営の極意 

満室をキープする不動産経営

どうすれば満室状態をキープできますか?

「①家賃設定」「②リフォーム」「③広告料」「④敷金・礼金」の4つをコントロールすることで、満室経営を実践しています。

 

満室にするための、特別な仕掛けはありません。

 

不動産オーナーとしてやるべきことをしていれば、自ずと満室になるはずです。

 

具体的には、「①家賃設定」「②リフォーム」「③広告料」「④敷金・礼金」の4つをコントロールすること。匙加減は私の感覚ではなく、管理会社などから入念なヒアリングをしたうえで、費用対効果が最良となるように検討しながら進めています。

 

賃貸経営は、お金をかけすぎてもNG、お金をまったくかけないのもNGです。その見極めが大切なのです。

 

①家賃設定→相場より低めに設定する。

家賃設定は、満室経営の肝です。相場並みの賃料を設定することで、自然と埋まっていくはずです。

 

私の場合、相場より若干低めの家賃を設定して競合物件との差別化を図っています。

 

これは物件自体を安く購入しているからこそできる強気の戦略です。物件を高値づかみしてしまうと、こういった戦略がとれなくなります。

 

②リフォーム→一定の基準を設け、バランスを考えて行う。

 

物件の競争力、室内の状況などを総合的に見てリフォームの要否を決定します。リフォームする際には、次のようなコスト感覚で実施しています。

 

  • 原状回復程度……@3000円/m^2
  • 一般的なリフォーム……@6000円/m^2
  • フルリフォーム……@9000円/m^2

 

③広告料→物件紹介の優先順位を上げてもらうために支払う

私の場合、家賃の1~2ヵ月分が大半です。

 

④敷金・礼金→ゼロゼロにして入居時の精算方法をハードルを下げる

基本的には、「敷金ゼロ・礼金ゼロ」で募集します。入居者の初期費用を下げて、より多くの需要を取り込むためです。

 

退去時の精算方法を決めておけば、敷金はゼロでも問題ありません。

賃貸経営を助けてくれる保証・保険

保険金の請求は、どうすればいいのですか?

保険会社への保険金の請求は、自分でも簡単にできます。保険金請求を請け負い、成功報酬を求めるような業者を利用する必要はありません。

 

①保険会社の自己受付センターに電話をして、被害日時や被害状況を伝える

②保険会社から申請用の書類が送られてくる

③送られてきた書類に必要事項を記載し、求められる書類を添付して返送する

 

という手順でやります。たったこれだけです。

第5章 投資の成否を分ける物件の手放し方

投資を完全成功に導く出口戦略 

売却に踏み切る際に指標のようなものはありますか?

諸費用を含めた初期投資額の120%以上で売れることをひとつの指標として、売却の意思決定をしています。

 

私は原則としてキャッシュフローを重視していますが、常に売却も意識しています。

 

なぜなら、売却益を得ることで金融資産を増やせるからです。

第6章 真の不動産投資家になるための心の鍛え方

不動産投資家としての資質を磨く 

成功するためにはどのような資質を養えばいいのでしょうか?

不動産投資家に必要な資質は、「①判断力」「②行動力」「③胆力」の3つです。

 

①判断力→優柔不断はNG。即断できる知識と自信を身につける。

不動産投資は、選択の連続です。買付けを入れるとき、売買契約を締結するとき、業者を選ぶときなど、さまざまなフェーズで判断することを迫られます。

 

即断を求められることも多々あります。

 

不動産業者から良質な物件紹介があったとき、「部屋をチェックしてから」「数日考えさせてくれ」「専門家の判断を仰いでから」などとあいまいな回答をした瞬間、即断ができる別の投資家に持ち込まれることになります。

 

②行動力→行動すれば道が開ける。何はなくともまず「自分で動く」

これが最も大切な資質かもしれません。やはり人並み外れた行動力のある人が、突出した成果を出しているように思います。

 

③胆力→勇気と度胸なくして、大きなお金を動かすことはできない

不動産投資に必要な胆力とは、まず「億単位の借金に耐えることができるか?」ということです。一般的には「借金=悪」と教育を受けているでしょうから、このマインドセットを解く必要があります。

 

不動産投資では、「最初の1棟」を購入するのにとてつもないエネルギーがいります。

 

これを乗り越えて、「お金がお金を生んでくれる」ことを実感できれば、恐怖心は徐々に薄れていきます。

 

まずはアパート一棟、買いなさい!

前書き

株式投資のめぼしい本をだいたい読んでしまったので、今日は少し興味のあった不動産投資で有名な本『まずはアパート一棟、買いなさい!』 について書いていきたいと思います。

序章 なぜ不動産投資なのか?

メリットはお金が借りられることと安定性

不動産投資の最大のメリットは、銀行など金融機関からお金を借りて、つまり他人の資本で勝負することができるという点です。

 

不動産投資の場合、購入する土地や建物の価値と、借りる人の信用力を担保に融資を引くことが可能です。なぜなら、もしも借りた人がお金を返せなくなった場合でも物件の価値はゼロにはなりませんから、貸した側はそれを差し押さえることで貸し倒れのリスクを軽減できるからです。

 

なお銀行によってはノンリコース・ローンと呼ばれる、経営に失敗した場合はその物件を銀行に差し出すことでチャラになるという商品もあります。

自分の努力次第で利回りを上げられる

不動産の場合は、買った物件の価値を簡単に高めることができます。駅からの距離や日当たりといった立地に関してはどうしようもありませんが、リフォームを施したり、設備を充実させたりすることによって、「家賃の額を上げる=利回りを上げる」ことができるのです。

 

古ぼけた建物でも、外壁を塗装するだけで見違えるようにパリッとした印象になりますし、和室を洋室に変更したり、間取りそのものを変更したりすることで、物件はいくらでも生まれ変わります。

 

なにより、そうした自分の裁量がダイレクトに利回りに反映されることが、不動産投資の醍醐味だと思います。

 

自分の物件の入居者になるのはどういう人か、入居者が何を求めているのかを日々勉強し、知恵を絞って努力をすればするだけ、絶対にそれは報われます。実際、かけた費用の分だけ自分の物件がきれいになり、グレードが上がっていくのがはっきりと見て取れますから、すごくやりがいがあります。そうした努力によって、入居者が自分の部屋を気に入って選んでくれたときの喜びはひとしおです。

 

事業経営者としての手腕を思うように振るうことができ、それが入居者と自分の双方の喜びとなることも、僕が不動産投資を好きな理由のひとつです。

不動産投資は「自動操縦」ができる

不動産投資が決して楽なわけではありません。物件を購入して経営が軌道に乗るまではかなりたいへんです。いい物件を購入するために情報収集は欠かせませんし、これはと思ったら下見に行き、現地でさらに生きた情報を集め、売り主との値段交渉をし、融資を取り付けるために銀行と渡り合ったりというのは、非常に大きなエネルギーを使います。また、どこの不動産会社に管理を任せるかの選定や、すぐにリフォームが必要であればリフォーム業者も決めなければなりません。多くの不動産会社に当たって話を聞いたり、相見積もりを取ったりしていく作業も、なかなか苦労するものです。

 

しかしその苦労を乗り越えて、物件を購入し、信頼できる管理会社とリフォーム業者が得られれば、それはすなわち自分の「チーム」になります。そして物件が稼働しだせば、入居者募集やクレーム対応、退去の立ち会い、リフォームなどは、すべてそのチームに任せられます。年々仕事の依頼が多くなれば、大家さんとチームの信頼関係は強固になり、物件を所有していることすら忘れてしまうくらいに楽な状態を作り出すことが可能です。

不動産投資の5つのリスク

①空き室リスク

どんなに立派な建物や便利な土地であっても、それらを所有するだけでは利益は上がりません。たとえ利益が上がらなくても、固定資産税や都市計画税といったランニングコストは容赦なくかかってきますから、空室リスクこそ不動産投資の最大のデメリットといえます。しかしながら、大前提として需要の見込める場所に物件を持っていれば、大家としての経営手腕やセンスによって満室経営は十分に可能です。

 

風評被害リスク

株式投資では企業倒産のリスクがありますが、不動産の場合は倒壊、火事、地震といった危険には、保険に加入することである程度は対処できるので問題ありません。ただし怖いのは、自殺や死亡事故、殺人事件などが起こった場合です。

 

それが原因で入居者が出ていくことは十分に予想できますし、次の入居者に対して説明する義務が生じますから、空き室が続くことも考えられます。それも、事件や事故のあった一室だけでなく、一度悪い評判が立ってしまうと、建物全体がいつまでも風評被害にさらされることも……。

 

流動性の低さ

株式投資やFX投資であれば、何かの事情で急に現金が必要になったらすぐに現金化できますが、不動産の場合はそうはいきません。高額な取り引きになりますから買い手も慎重ですし、売りに出してから決済まで、早くても1ヵ月はかかるでしょう。現金ではなく、融資を受けてローンで買うということになると、さらに長引きそうです。

 

④取り扱う金額が大きい

不動産投資では取引金額が大きいので、万一失敗してしまった場合には容易にリカバリーができません。簡単に売れるものでもないので、すぐに見切りをつけて別の物件を買うというわけにもいきません。

 

また、融資を受けて購入する場合、長期間返済の債務を負い続けることもリスクとなります。特に変動金利での返済比率が高い状態での借り入れであると、その危険度も高くなります。リスクを嫌って自己資金の割合を増やせば、自己資金の大半をその物件に固定させることになり、予期せぬ支出や新しい物件の購入時に足を引っ張られることになりかねません。

 

⑤人づき合いの下手な人には向かない

賃貸経営は信頼が置ける管理会社やリフォーム会社などといったアウトソーシングに頼る部分が大きいので、その仕組み作りが苦手な人にはリスクとなるかもしれません。

第1章 地方の一棟アパートか都心の築古アパートを狙え!

まずは一棟アパートから始めるべし

不動産投資とは、「将来の経済的安定」のために行う事業なのですから、いかに効率的に収益を上げるかが大切です。儲けるなら利回りが高くなければ意味がありません。利回りの高い物件にはそれなりのリスクがありますが、それはたいてい経営者の努力次第で回避できるものだと僕は考えています。

 

持たざる者には持たざる者の戦い方があります。持たざる者はそのスタートラインから不利な状況ですから、月並みな戦い方ではダメです。取れるリスクは進んで取り、知恵を絞って努力することで将来を切り開かなければなりません。

 

ですから、やるなら最初から一棟アパートです。

 

それも少なくとも利回り15%以上、できれば20%前後の高利回りの物件を狙います。

 

もしも物件価格1500万円で利回り20%のアパートを手に入れることができれば、利息や税金、リフォーム費などを引いても、実質利回り15%程度で運営できます。満室で運営できれば6~7年で物件価格の回収を終え、無借金で年間家賃収入300万円が手に入ることになります。

 

区分所有マンションの場合と比較すると、一棟アパートがいかに効率よく儲かるかがわかるでしょう。

投資を始める前に戦略目的を設定すべし

僕が考える経済的な安定を得られるレベルとは、10年後に無借金で年間家賃収入を1000万円、市場価格数千万円の実物資産(不動産)を

保有することです。

 

購入する物件の利回りを17%とした場合、次の3ステップで達成できるイメージです。

 

①1600万円のアパートを1棟購入(利回り17%で満室時の年間家賃収入272万円)

②次にもう1棟同じく1600万円のアパートを購入する

③1200万円のアパートを2棟購入(利回り17%で満室時の年間家賃収入544万円)

 

そうすれば10年後には、「無借金で年間1000万円の家賃収入と数千万円の実物資産」という目標をほぼ達成できます。これは理想的に進んだ場合ですが、決して非現実的な話ではありません。

 

不動産投資は、手軽に始められる株式投資などと違い、事業ですから、あらかじめ長期の事業計画を描いてから始めるに越したことはありません。投資の目的地がどこにあるかによって、取るべき戦略は違ってきます。

 

もしも「プラスで毎月25万円」でよければ、最初に1500万円の一棟アパートを買うだけでいいで

すし、「プラス毎月50万円」を目指すのであればさらに2棟目を買い進めた時点で終わりにすればいいでしょう。「プラス毎月50万円」ならば利回り20%でなくてもいいと思います。利回りの高いものは「築古」「修繕費用」「空室」などそれだけのリスクがあります。1500万円で利回り20%の物件ではなくて、2000万円で利回り15%の物件を2棟買って、満室に近い経営をしていけばいいわけです。

 

なお、無借金経営まで10年というのは、最速のイメージですから、これは20年後でもかまいません。そうなるとある程度繰り上げ返済もして、ローン残高というリスクを減らしつつ、時間的に余裕を持って物件を増やしていけばいいということになります。

 

自分の目標が明確であれば、それを達成するために適切な戦略を描くことができますし、個々の物件をどういった戦術で経営していくかも自然と答えが出てくるでしょう。戦略や戦術が適切ならば、最初は小さい規模から始めても、徐々に拡大していけるでしょう。

 

あなたは10年後、20年後に、どのくらいの収入得ていたいですか? それを自分自身に問い抱えてみることから始めてください。

狙うは地方か、都心の築古一棟アパート

それでは具体的に、「10年後に無借金で年間家賃収入1000万円」という目標を達成するために、どういう物件を買うべきなのかについて説明しましょう。

 

狙いはズバリ、以下の2つのどちらかです。

 

①地方の一棟アパート

②都心ならば築古の一棟アパート

 

いずれも購入価格1000万~2000万円の間で、利回りは15%以上、できれば20%くらいを目標としたいところです。

 

アパートで1000万~2000万円の物件というのは、不動産投資の世界ではかなり安価な部類です。それほど所得の多くない人であれば、このラインが現実的に買える物件だと思います。

 

なぜ地方なのか、なぜ都心の築古なのかというと、これは単純に、その条件でなければ高利回りを得ることが難しいからです。利回りの高い物件というのは、言い変えればそれだけリスクの高い物件ということです。そのリスクをしっかりと見極めて、努力によって克服できるのであれば、むしろリスクを取っていこうというのが、僕の提唱するやり方です。

 

まず地方の場合は都心のように人がどんどん集まってくるわけではないですから、入居付けに不安があります。半分以上も空室で売りに出されているような物件も多く、それでは買い手がつかず、必然的に安価で利回りも高くなるというわけです。

 

地方の場合は、のんびりした資産家の高齢大家さんが多いですから、競争相手が少ないということもプラス要素として挙げられます。

 

逆に都心の築古物件の場合はそうかというと、地域としては賃貸需要が見込めるので、立地がよければ入居付けの苦労はさほどのリスクではないと思います。

 

ただし、建物には「法定耐用年数」というものがあり、木造住宅の場合は22年と決まっています。もちろんその期間を過ぎているから住めない、建て替えなければならないといったことはありません。世の中には築50年や100年といった家もゴロゴロあります。でも法定耐用年数を過ぎた築古物件というのは、減価償却資産としての価値がほとんど残っておらず、金融機関の融資が付きづらいというデメリットがあります。

 

また、手間をかけてリフォームをしていないと、それなりに古ぼけてきて、入居者にも敬遠されがちです。そのために安価で売りに出されるのです

 

しかし金融機関がどう評価するかは、入居者には関係のないことです。法定耐用年数が過ぎていても、建物には住めるわけですから。外壁塗装からきちんとリフォームして、魅力的な物件に生まれ変わらせることができれば、築年数はそれほど関係ないと思います。

 

また都心のいいところは、地価は高いけれでも面積は狭いので、それほど固定資産税が高くないことも挙げられます。

利回り以外に「イールドギャップ」を重視せよ

「イールドギャップ」とは、利回りからローンの金利を差し引いた数字です。

 

例えば、利回り20%の物件を、金利5%のローンで買った場合のイールドギャップは15%です。利回り15%の物件を、金利3%のドーンで買った場合は12%となります。

 

僕の経験からいえば、このイールドギャップは最低でも12%は欲しいところです。

 

利回りそのものだけに注目するのではなく、ローンの金利から逆算して考えることも必要です。そして、金利の低いローンが組めず、十分なイールドギャップが取れないのであれば、その物件の購入を 潔く諦めることもひとつの勇気かと思います 。

自己資金に最低300万円は用意する

1000万~2000万円の物件を買って運営していくためにはどのくらいの自己資金が必要になると思いますか?

 

僕の経験から得た感覚では300万円です。これくらいは最低ラインとして必要だと思います。

 

今の日本の経済状況では、数年前と比べて銀行の融資は積極的になっていますが、それでも物件購入価格の満額融資、すなわちフルローンを引くのは難しいと思います。しかも地方の物件や都心の築古物件というのは、なおさら融資を引きづらいでしょう。

 

たとえフルローンの融資を受がけられたとしても、物件購入価格が上限です。購入に当たっての諸経費は自己資金でまかなわなければなりません。仲介業者への手数料、ローン手数料や保証料、登録免許税や司法書士への報酬、固定資産税、都市計画税印紙税、さらに火災保険料など、だいたい物件購入価格の5~7%程度が必要です。また、すぐにリフォームが必要な場合もありますし、数ヵ月後に支払う不動産取得税や当面の運転資金なども考えたら300万円あれば安心できるかと思います。

 

さてフルローンを引けない場合は、自己資金から頭金を捻出しなくてはなりません。頭金の目安を10分の1とすると、150万円を頭金にローンを組み、残りの150万円は前述の諸経費で消えていきます。運転資金やリフォーム資金は残りません。現状で入居率がよければ所有権を移転して1ヵ月後には家賃が入ってくるので運転資金のめどは立つかもしれませんが、空室だらけでリフォームしなければ貸せないような状況であれば、別途リフォームローンを組んで、修繕費に充てる必要が出てきます。

 

リフォームローンは取得した物件を担保に、おそらく問題なく引けると思いますので、やはり自己資金は300万円が最低ラインとして必要だという計算になります。

第2章 買ってもいい物件、買ってはいけない物件

物件探しのコツも「ニッチで勝負!」

これから1棟目を買おうという人であればインターネットで探すのが効率的です。さらに余裕があれば、手間をかけて未公開物件を探すという順番で十分でしょう。

 

僕の場合は、1棟目を購入するまで毎日5時間はネットに張り付いて物件を探しました。そこまでやれとは言いませんが、一定の検索条件で毎日見続けていれば、その地域の物件の利回りや相場観が養われますから、数多くの情報に継続的に接するようにしましょう。

 

基本的にチェックすべきは投資家向け収益物件専門のサイトですが、掘り出し物をみつけるなら「Home's」や「アットホーム」といった大手ポータルサイトのほうがチャンスはあると思います。なぜなら収益物件専門サイトに掲載されている物件は、既に”投資家向け”といいうフィルターがかかっていますので、投資家が集まりやすいですし、いい物件が出た場合に競争が激しくなるからです。時間勝負になってしまうと、初心者には不利です。

 

僕は、普通の利回りの物件でも、掲載日に注目することをお勧めします。掲載してから長い時間たっている物件というのは、ずっと売れ残っているわけで、そこに値引きのチャンスが出てきます。当然ある程度の利益を見込んで値段を付けるわけですが、あまりに長い期間売れず、問い合わせもほとんどないような状態ですと、売主も弱気になっているものです。相続で手放すのであれば、その期限も近づいて焦っているかもしれません。早急な判断が必要な時間勝負は初心者には不利ですが、相対取引でゆっくり交渉を詰めていけます。もともと高利回りの物件を高利回りで買うのではなく、普通の利回りの物件を高利回りで買うのが最上の策ではないでしょうか。

 

またもうひとつ、これは築古物件を探す際に限定したテクニックですが、「Home's]や「アットホーム」「Yahoo!不動産」で検索条件を「土地」として探すという手があります。あくまで土地として売り出していても、上に古家が立っているケースがよくあるからです。売主が”価値なし”と判断している建物ではありますが、木造ならばリフォームすればたいていなんとかなります。その建て壊し費用も値引き交渉して、リフォーム費用も入れて十分な利回りが出るのなら、お勧めだと思います。

地方物件を買うならエリアの力を見極める

その地域の産業構造や人口動態といったことは、ある程度インターネットで調べることができますし、下見の際には必ず市役所に足を運んで、都市計画や産業の振興など調査しましょう。不動産の大手ポータルサイト「Home's]では、空室率や家賃相場、希望の間取りや家賃、地図上でよく閲覧される物件の多い順に色分けして表示するサービス(賃貸需要ヒートマップ)もありますので、それも参考にするといいでしょう。

 

なお僕自身は、企業城下町や大学付近のエリアは避けています。そういう「○○があるから安心」というエリアは、そもそも「ニッチで勝負!」の精神に反しますし、当てが外れた場合のリスクが大きすぎるからです。

 

考えてみると僕が物件を持っている地方は、特なにがあるというわけではない、いわば「陸の孤島」のような場所ばかりです。それでも家賃を低めに設定したり、魅力的なリフォームをしたりすることで入居者は呼び込めます。

 

最後に、地方に物件を買うなら、基本的に土地鑑のあるところに買ったほうがいいと僕は思います。いくら利回りが高くても、まったく見ず知らずの土地に買うのはやめておいたほうが無難です。またあまり遠方に買うのも、最初の一棟目は管理会社探しやリフォーム工事などの関係で、何度も現地に足を運ぶ必要に迫られるでしょうから、時間や手間、移動費のことを考えてもやめておいたほうがいいと思います。

地方に物件を買うときの条件

地方に物件を買うとき、僕が重視しているのはまず部屋の広さです。狭いものはダメだと思います。最低限、「単身者用であっても一戸当たり8坪(約26.4m^2)」は欲しいところです。

 

あまりに広くても退去したときのリフォーム費用がかさむので、それくらいの広さが適当かと思います。いざとなれば部屋を仕切って2人でも住めるので、入居者募集の間口が広くなります。

 

都心では15~16m^2からが合格ラインといわれますが、それは立地の便利さで需要があるわけです。地方ではそもそも広いのが当たり前ですし、移動の手段は車というところが多いので立地の優位性はあまり望めません。地方で狭い部屋が勝負するには大幅に家賃を下げるしかありません。家賃を下げると利回りが下がりますから、そういう勝負の仕方しかできない物件は買うべきではないでしょう。

 

次に、その地方がいわゆる「車社会」である場合は、「全世帯分の駐車場を敷地内に確保できること」が僕の中の必須条件です。それさえ満たしていれば、駅からの距離はほとんど気にしません。

 

地方でもバスや電車などの交通機関がしっかり発達していて、必ずしも車社会でないところもありますから、そこはしっかり調査して、駐車場の有無が入居付けに影響しない確信が持てれば買ってもいいと思います。

 

さらに、これは都心に買うときも同じなのですが、建物のボリュームは大きすぎないほうがいいと思います。なぜならボリュームの大きい物件は、なにかあったときのインパクトが大きくて、またなにかと経費がかさむことが多いからです。

 

間取りが多いと壁面の施工面積が増え、またリフォームの中で扉や引き戸といった建具というのが、かなりの費用を食うからです。部屋数が増えるとそれだけ建具の数も増えます。

 

税金の面でも、ボリュームの小さいものはそれだけ固定資産税などが安く済みます。

 

また売りたくなった場合にも、小ぶりな物件は現金で買える人が多いので売りやすいというメリットがあります。

都心の築古木像アパートはボロくても問題なし

次に、都心の一棟アパートについてお話します。都心で2000万円以下で買えるようなものは、おそらく築30~40年は経過した築古物件が多いと思います。そうした物件は法定耐用年数が過ぎているので融資が付きづらく、見た目や間取り、設備も古くさく、再生させるには大規模なリフォームが必要になるので安く売りに出されるわけです。これは、はっきり「ボロ物件」といってしまっていいでしょう。

 

しかし僕に言わせれば、ボロ物件だからこそ勝機があります。都心の物件の場合は、最寄駅の大きさや駅からの距離といった立地の利便性が、たいていの難を吸収してくれます。そうした立地のいい場所に、安く物件を仕入れて、きれいにリフォームして貸し出せば、とんでもない優良物件に仕上がる可能性があるのです。

 

基本的に内装はいくらボロくても問題ありません。リフォームでいくらでもきれいになります。そもそも木造アパートのいいところは、いくらでも修繕できてしまうところです。現在の日本のリフォーム技術は秀逸ですから、柱が腐っていても取り替えられますし、土台の部分がダメになっていても隣に別の柱を立てて補強できますし、ジャッキアップして土台そのものを入れ替えることですら可能です。

 

木造建築というのは、このようにあとからどうにでも補強や修繕が可能ですから、築古でも恐れることはありません。逆に鉄骨造や鉄筋コンクリート造のマンションンのボロ物件の場合は怖いです。鉄鋼は一回錆びたら直せないので、まったく修繕されず雨ざらしが長かったり放置されたりして、錆の浸食により主要構造部の強度が大きく損なわれている可能性があるものは手を出してはいけません。しかもダメージ部分が外観からはわかりづらいところも怖い点です。

 

木造の場合はむしろ、ボロければボロいほどライバルも少なく、また値下げ交渉にも応じてもらいやすいので「オイシイ」ともいえます。

 

ポイントはリフォームして生まれ変わったところをイメージできるかどうかです。そして、そのリフォーム費用がどれくらいかかるかもイメージできるかがカギです。リフォームすれば十分に満室にできる確信があれば、あとは建物の価格にリフォームの価格を乗せて利回りを計算して(家賃は近隣の相場でだいたい予想できるでしょう)、その利回りがどれくらい出るかで考えていけばいいわけです。 

瑕疵担保免責物件でも大丈夫

「瑕疵担保免責」を承知で買ったとしても、売主が宅建業者の場合、例えば建物の構造そのものに問題があったとか、シロアリが食っていて土台がガタガタだったとか、そういった重大な、しかも買うときには見えない瑕疵があったときには、補修工事や損害賠償、契約解除権を請求できます。そして個人間の取り引きでも売主が瑕疵を知りながら買主に告げなかった場合には、やはり責任を追及できます。

オイシイ物件の見分け方 

オイシイ物件というのは、それほど手間や時間、お金をかけることなく、満室にできて高利回りにできるものを指します。しかし時間と労力と費用がかかっても、リフォーム費を含めて20%以上の利回りが見込めれば、これは投資のうまみがある物件だと思いますし、15%しか出なくてもほとんど手間もお金もかけていないのであればオイシイでしょう。

 

そうしたオイシイ物件を見分けるには、現地調査が大事です。なぜ入居者が付かないのか、入居者視点でしっかりと分析しましょう。

 

このとき「駅から徒歩20分で遠すぎる」「線路沿いでうるさい」「日当たりが悪い」など大家側の努力ではどうにも克服できないマイナス面が主要因だとはっきりすれば、潔く諦めたほうがいいかもしれません。

 

そうではなくて、「単にボロい」「間取りや設備が古い」といったことであれば、これはリフォームでいくらでも克服が可能です。外壁をきれいに塗り直すだけで生まれ変わったようにきれいに見えますし、内装もいくらでもピカピカにできます。いくらでも手を加えられるのにやっていないことで損をしている物件というのは、かなりあると思います。

その物件はなぜ空室だらけなの?

また、建物や設備の問題ではなく、積極的に入居者募集を行っていないから空室だらけという物件もあります。よくあるのが、建て替える予定があって、退去者が出てもリフォームがほとんどなされず、空室のままという物件です。だからどうして空いているのか、おそらく仲介する不動産屋さんが現地に同行してくれるでしょうから、きちんと聞いてみましょう。年配の方の持っている物件ですと、建て替える予定があって募集をしていなかったという話はよく聞きます。「建て替えようと思っていたけど、もう自分も年で面倒だし売っちゃおう」という事情のようです。そういう物件は「オイシイ」ですよね。修繕費用や空室率の高さから、物件の価値がすごく低くなるので、非常に安く買えます。

 

このようにしっかり現地調査をすることで、物件の持っているポテンシャルを把握していくことが大事です。現状を見てダメな物件が、必ずしもダメなわけではありません。特に、売主が全然努力をしていないからダメという物件があるわけで、そういうダメ物件はオイシイです。ボロければボロいほど、空室は多ければ多いほど、安値で売り出されるために、修繕して入居者を募集すれば、投資物件として驚くほどの爆発力を持っている場合もありますよ。

買ってはいけないボロ物件とは?

内装がいかにボロくても、それは修復できるので問題はありません。でも建物の構造にかかわる部分は、しっかりと見極める必要があります。

 

軟弱地盤の上の傾いた物件はNG

まず、建物が傾いているものは避けたほうがいいです。わかりにくくて生活に支障がない程度であればあまり気にする必要はないかもしれませんが、ビー玉を転がすまでもなく見た目や体感として傾いているような物件は絶対に避けるべきです。現地調査の際は、ホームセンターで売っている「水平器」を持っていくといいでしょう。

 

建物に入ったときに湿気をチェック

また、湿気にも注意したいところです。地下水脈の上や雨のたまりやすい土地で、地盤から湿気上がってっきて、建物にこもっているような物件です。

 

見分け方としては、まず建物に入れば湿気がこもっているかどうか、ジメジメしているかどうかは感覚ですぐわかりますよね。柱が腐っていたり、色が変化していたり、湿気で壁紙がはがれていたり、ひどいと部屋の中がカビだらけになっていたりしますし、がけ地や傾斜地のふもとに建っている家で、床がズブズブに腐っている物件というのも見たことがあります。そういうものは一目瞭然でダメですね。

 

雨漏りと擁壁も要チェック

雨漏りが長期間放置されていたような物件も、避けたほうが無難でしょう。どこに水が回っているかわからず、思わぬところの柱が腐っていたり、構造体に二次被害が考えられるからです。特に鉄骨造の建物は錆びたら再生できないので、絶対に避けるべきです。木だったら腐っても再生できますが、その分費用もかかることを覚悟しましょう。

 

しかし、鉄の手すりや外階段が錆びているのは、当たり前のことですし、対処方法を知っていれば怖がる必要はありません。錆を落として下地処理をすればきれいに塗装できますし、腐っている箇所は溶接工事で入れ替えます。錆でボロく見えているのならば、その分値引き交渉すればいいかと思います。場合によってはきれいにするだけで入居率が大きく改善するかもしれません。

 

山や谷が多い土地であれば、擁壁にも要注意です。段々畑みたいな感じで家が建っているところの段々の壁のことを擁壁というのですが、それが手抜き工事だったり、古すぎたりすると適当に組まれている場合があるからです。そうなると、大雨が続けば土中の水の圧力に耐え切れずに擁壁倒壊を起こす危険性が出てきます。

 

シロアリ、基礎などは心配ならば専門家の調査を

シロアリに柱や壁が食われていそうなボロ物件であれば、現地調査にプロを連れていくといいと思います。見積もりだけならば無料のところもあります。もしも食われていて、駆除を入れて土台もやり替えたらいくらかかるという見積もりが出たら、それを根拠にさらに値引き交渉をすればいいでしょう。

 

僕の持論ですが、築古の場合は「何十年も建ち続けているというのが既に実績」です。その間に豪雨やら地震やらをくぐりぬけてきて、既に悪いところは出きっている状態ですから、これから新たに傾いたり沈んだりするとは考えづらいでしょう。木造の古い建物は、部屋が狭いだけにその分柱が多い構造なので、意外と丈夫だったりするものです。

 

結局はベースとなる土地が問題だといえます。水が溜まるようなところでは、地盤沈下や湿気、湿気を好むシロアリ、カビの繁殖など、まさに瑕疵の温床なので、そういう土地は避けるべきです。

マンションよりも木造アパート

そもそもマンションとアパートの違いは、その構造にあります。マンションは主に鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨(S)、鉄骨鉄筋コンクリートSRC)で、アパートは木造(W)や軽量鉄骨(LGS)などです。

 

RCは木造よりも建物の価値が高いので、その分固定資産税が高くなります。

 

対して木造アパート、それも法定耐用年数を過ぎた築古ともなると、固定資産税はかなり安いです。イメージとしてはRCの5分の1から3分の1でしょうか。

 

RCのほうが法定耐用年数は長い分、1年に減価償却できる金額が少なく、かかる経費は多 く、ローンの返済も差し引くと現金はあまり多くありません。しかし中古の木造アパートは短期間で減価償却でき、なにかしらの大きな修繕があれば、その費用も減価償却資産として計上できますし、なにより固定資産税の安さは見逃せない要素です。 

 

また、RCの場合は維持修繕費が木造よりも確実にかかります。

 

いくら地方であっても2000万円以下で買えるマンションというのは相当なボロ物件だと思いますが、そもそも人に貸せる状態にするためのリフォーム費用も、木造よりRCのほうがはるかにかかります。

物件に惚れるな!難があれば深追いは禁物

そこまで深追いしなくても、物件はいくらでも、あとからあとから出てきます。そこで妥協しなくても、「ああ、実際はそんなにリフォーム費用がかかるのか。それなら縁がなかったんだな」とシビアな気持で、常にニュートラルに判断するように心がけましょう。

「融資が引きやすい」という理由で買うのは危険

物件を買うには、普通は金融機関から融資を受ける必要があります。ただ僕が勧めるような、利回りの高い地方の物件や都心の築古物件には、金融機関はあまりお金を貸したがりません。なぜなら資産性が低く、担保価値も低いからです。

 

しかし、「融資が引きやすいから」という理由で物件を買うのは、非常に危険です。なぜなら銀行が貸したがる物件は、資産性は高いですが同時に利回りが低い傾向にあるからです。つまり、買ってもそれほど儲からないのです。

 

資産価値が高いということは、それだけ固定資産税も高くなります。固定資産税は高いと満室家賃の1~2カ月分はかかります。さらに管理費として通常は家賃収入の5%を支払います。そのほか共用灯の電気代、給水ポンプの電気代、エレベーターがあればその電気代など、毎月2万~3万円の電気代が必要です。そのほかエレベーターのメンテナンス費、消防法に準じた消火設備や法定点検費用もかかります。

第3章 資産性が低くても、銀行から融資を引く秘訣

地元の地銀、信金信用組合から借りる 

融資が受けやすい状況とはいえ、僕が勧める地方や築古物件を狙う手法では、メガバンクからの融資は期待できません。「自己資金を3割用意してください」と言われるのが普通ですし、そもそも彼らのメガネにかなうような資産性の高いもので、利回りが高いというのはまずありません。

 

でも地方銀行、さらには地元の信用金庫や信用組合というのは、「地域密着型で、人を育てて地域に貢献する」という企業理念を掲げています。地方銀行となると融資基準は厳しくなってきますが、信用金庫や信用組合であれば、物件の法定耐用年数が過ぎた築古物件、再建築不可でも融資してくれる可能性があります。だから事業性に勝機を見出して、お金を借り入れることも可能だと思います。金利はやや高くなりますが、それを吸収できるくらいに利回りの高い物件を買ってイールドギャップを確保すればいいわけです。

 

ただし残念ながら、居住地とは離れた地方に物件を買う場合、信金や信組から借りるのが難しい場合があります。居住地の地元の信金や信組には融資可能エリアというのがあり、そのエリア外の物件には融資は付きにくいものなのです。また、物件の地元の信金や信組を利用したいと思っても、そこに住居や勤務先がないと難しくなってきます。

 

ほかの金融機関でもそうですが、いきなり出向いて融資を受けられるかというとなかなか難しいでしょう。でもきちんと事業計画書を用意して、不動産投資の趣旨や熱意をアピールすれば、可 能性は開けてきます。

日本政策金融公庫から借りる

民間の金融機関では融資が難しいという場合に頼れるのが、日本政策金融公庫です。これは2008年に設立された財務省所管の特殊会社で、使途が事業であれば個人でも借りられます。賃貸不動産経営というのは立派な事業ですから、メガバンクのように不動産投資だからと渋られることは基本的にはありません。

 

公庫は民業を圧迫せず、民間の金融機関では受け入れてもらえな案件のために融資を行うというのが原則ですから、収入が安定していないフリーランサーや、収入が低い人たち、自己資金が少ない人たちでも借りられる可能性があります。築古で再建築不可であろうと融資してくれますし、場所も関係なく、さらに固定の比較的低い金利で借りられるのがうれしいところです。

 

今では、後述する「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」の制度なら、古い物件に対しても17~18年の融資を出すことも珍しくなくなってきました。 

 

さらに公庫のメリットは、民間の金融機関では物件の購入価格までしか貸してくれませんが、公庫の場合はリフォーム費用や運転資金まで貸してくれることです。また、購入後に大規模修繕の必要性が出てきた場合にも、別途リフォームローンを組むことも可能です。借りるのにそれほどハードルは高くないですし、返済スケジュールの引き直しの相談にも乗ってもらいやすいですし、とても安心な借入先かと思います。

 

デメリットとしては、物件への評価が厳しいことです。例えば2000万円の物件に対して、民間の金融機関であれば7割前後、1400万円程度の評価を出すとすれば、公庫の場合は5~6割、1000万円~1200万円くらいのイメージです。こういうところで安全基準を厳しくしているようです。だから公庫を利用するなら、自己資金を多く用意しておいたほうがいいですし、共同担保に入れられる物件があれば有効活用したいところです。

 

なお、公庫にはいろいろな融資があって、僕が今まで説明しあてきたのは、「普通貸付」というものです。このほかに事業開始後7年以内の人に用意された「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」というものがあり、これらを利用すると各20年以内、7200万円まで融資を受けることができます。 

「融資を引く=購入」がゴールではない

1棟目を必死で満室経営することが大事です。最初に労力をかけて努力しておくと、空室を埋める自信もついてきますし、自分自身の経験値も上がっていきます。僕の経験でも、リフォームをして入居率を上げて、ローンも返しながらお金もそれなりに残してきて、高い税金も払って……そんなことが自分の自信につながっています。

 

事業ですから、購入したら終わりではありません。いかにきっちり稼働させるかが大事なのです。そうやって実績を積み上げていくことで、自信が生まれ、経験値も上がり、周囲の人への信頼感につながり、さらに事業を発展させていく力となっていくのです。

第4章 購入価格は自分で決める! 値切りの交渉術

賢い経営者ならば、売値では買わない

物件探し、下見と現地調査を経て、ついに「これなら買ってもいい」という物件が見つかったとします。このとき、売値でそのまま買ってしまうようでは、残念ながらあなたは経営者としてのセンスに乏しいかもしれませんね。

 

不動産には「定価」はありません特に中古の場合には、売主と買主が相対して取引をしてお互いに妥協点を探っていくもので、売値というのはあくまで、売主が「この値段で売れたらいいな」という願望でしかないのです。

 

融資を受けて買うのですから、利回りが高ければそれだけイールドギャップに余裕が出てきます。金利の高いローンでもその金利分を吸収できるわけで、どれだけ値引き交渉ができるかが、あなたの不動産経営に大きく影響するのです。

 

売主はたいてい、相続や借金整理など、なにかしらの「売らなければならない事情」を抱えています。そうした事情があるので真剣です。こちらとしてはなにも絶対にその物件にこだわる必要はなく、売り物件は市場にどんどん出てくるのですから、その意味では売主よりも立場は有利です。

 

その値引きも、不動産の場合は値引き幅がハンパではありません。1000万~2000万円くらいの物件であれば、百万円単位での値引きも当たり前です。

 

「物件に惚れてはいけない」のですよ。物件に惚れてしまい、大して値引きもできずに買ってしまうと、利回りが低くて苦労することになりますから。

値引き交渉ではブレないこと

値引き交渉で大事なのは、「ブレない」ことです。一番よくないのは、自分がいくらまでなら妥協できるのかをしっかり定めずに交渉に入ることです。

 

不動産投資は事業であり経営なのですから、収益を追求しなければなりません。収益性を上げるもっとも確実で有効な方法は、「安く仕入れる」ことに尽きます。だから利回りにはとことんこだわってください。

購入予算を算出するときの注意点

まず、物件を購入する際の諸経費は必ずかかりますので、これは最初から計算に入れておきましょう。火災保険や地震保険だけでも数十万円のまとまった出費になります。こうした保険料も含めていくと購入価格の6~7%程度はかかります。諸経費を考慮すると表面利回りから1%くらいは収益性が下がることになります。

 

1000万~2000万円程度の物件では、購入時に既に満室ということはあまりないと思います。リフォームして建物や居室の魅力をアップさせて入居者を引き寄せなければなりませんから、その費用も忘れてはなりません。特に築古物件は、何百万円もかけて大規模なリフォームが必要な場合があります。

 

さらに細かくいえば、購入後には管理会社への管理料、共用部分の光熱費、固定資産税や都市計画税などもかかってきます。管理料の相場は家賃収入の5%で、光熱費や税金は仲介業者を通じて売主に確認しておきます。また退去時にはリフォームが発生しますし、将来の大規模修繕のためにも家賃の5%程度は毎月修繕積立金をプールしておきたいところです。そこからローンの返済額を引いて初めて、キャッシュフローがいくらになるのかがわかるのです。

値引きを勝ち取るテクニック

その物件をいくらまでなら買えるか予算を決めたら、いよいよ値引き交渉開始です。

 

基本は、その物件の弱点をすべて洗い出して、相手にも同じ認識を持ってもらうことです。それには順番があります。

 

まずは駅から遠いとか、日当たりが悪いとか、家主の努力ではどうにもならないことから攻めます。「駅から遠いし、この場所ではちょっとこの値段では買えないかな……」と、これは軽いジャブ程度です。

 

そして個別の弱点を指摘していきます。「外観が汚いので塗装しなければお客さんが付かない」「設備が古いので交換しないと」「和式トイレを様式に」……など、弱点を思いつく限り指摘しましょう。このときのポイントは、「自分が持ち主になったら、ここをこう直す」ということをしっかり説明することです。「だからその分安く買わなければ割に合わない」ということを納得してもらえば、相手も気持ちよく値引きに応じてくれるはずです。リフォーム業者に見積もってもらった具体的な費用を出せば、相手も納得せざるをえないでしょう。

 

また、入居中の部屋は退去時にリフォーム費用が発生しますから、その分も値下げの根拠としましょう。仮にフルリフォームをする場合ワンルームでも20万~30万円かかったりしますから、4部屋入居中であれば、退去時に100万円前後の出費があるかもしれません。

 

値引き交渉ができるタイミングは、1回ではありません。購入に当たって、普通はまず「買付証明書」というものを入れます。最初の値引き交渉はたいていこのタイミングですね。そこで合意に達したら、次は「手付金」を入れて売買契約を結びます。並行して買主は金融機関から融資を取り付けて、それから決済となるわけです。

 

手付金を入れたあとでも、決済を終える瞬間まで、値下げ交渉のチャンスはあります。例えば「心配だからシロアリ業者に調査を頼んだら、やっぱり食われていたので駆除して柱も入れ替えないと」ということになったら、これも相手はその分を下げてくれるかもしれません。

 

また、売買契約を締結するまでの話ですが、金融機関の評価というのも有効です。売値1500万円の物件で、既に「リフォームに200万円かかる」ということで、1300万円に値下げしてもらっているとしましょう。ローンの申し込みをした銀行に「資産価値が低くて1000万円しか融資できないですね」と言われたら、それを根拠にまた値下げ交渉をすれば、さらに300万円というのは難しくても、100万円くらいは下がるかもしれません。売主にしても「そんな評価しか出ないのか……」と弱気になるでしょうから。

 

ただし、実際には売主と膝を突き合わせて交渉するわけではないというのが救いではあります。普通は売買を仲介する業者(=不動産屋)が間に入りますから、「ご相談させていただく」というスタンスは守りつつ、自分の主張を遠慮なくぶつけていけばいいと思いますよ。

有利な値引きをするには相手を知ること

トランプでもマージャンでもなんでもそうですが、勝負事で相手の手の内がわかっていると絶対に有利ですよね。

 

値引き交渉でも同様です。売主はなんらかの「売らなければならない事情」を持っているはずで、もしその事情がわかったとしたら買主は有利な立場に立てます。

 

例えば、持ち主だった人物が亡くなって相続が発生し、アパートを現金化することになった場合、相続税の申告・納付というのは、原則金銭で死後10ヵ月以内です。もしもその期限が迫っているとしたら、売主はほかに買い手が現れなければ、どんなに値引きをされても売ってしまわなければならないわけです。仕事で借金を抱えてしまって、不動産を整理しなければ現金が作れず、借金の支払期限が迫っているような場合も同様です。

 

さらに、相手が考えている「ギリギリこの値段なら売ってもいい」という最終ラインがわかったら、これは手の内が丸見えだと言えます。

 

そうした事情をどうやって知るかというと、その情報源は仲介業者になります。もちろん、右記のように洗いざらい教えてくれはしませんが、「なんでもおじいさんが亡くなられて売りに出ているそうですよ」とか、「このくらいまで引いてくれるんじゃないですかね」といった程度の情報であれば、下見の際にいろいろ質問するうちに明かしてくれる可能性はあります。仲介業者も売買を成立させて、手数料を稼ぎたいわけですからね。仲介業者を味方につけられると、さらに有利に交渉を進められます。

リフォームの見積もりも進めておく

購入を決意するまでには何度か下見をすることになりますが、有望そうな物件であれば、一回はリフォーム業者と一緒に下見をして見積もりを取っておきましょう。見積もりだけであれば無料ですし、その見積もりは値引き交渉の説得材料になります。また金融機関に対しても希望融

資額に近づけるための根拠となりますから、ぜひともやっておくべきです。

 

当面のリフォームにかかる費用はもちろんですが、それ以外にも大規模修繕をしたらいくらか

かるかも、見積もりの機会に聞いてしまいましょう。外壁や屋根、外階段、共用廊下、ベランダなどの防水能力上下水道管を含む給排水設備、浄化槽のエアポンプ、配電盤関係、消防設備、ガス給湯器などの消耗具合、それらを直す際の費用はいくらなのか、つまり将来のリスクが把握できます。

購入時の諸費用はこれだけかかる 

ここで物件を購入するときの諸費用について、詳しく解説しておきましょう。諸費用の内訳としては、以下7種類あります。

 

①仲介手数料

これは取引価格により法律で決まっています。不動産売買における仲介手数料を求めるには、以下の簡易計算式を知っておくと便利です。

 

400万円超であれば、「売買価格の3%+6万円」という簡易計算式が使えます。

 

②登録免許税

不動産の所有権の移転登記をする際に収める税金です。細かい計算方法は省きますが、1500万円の物件であればだいたい10万~20万くらいでしょう。

 

③不動産取得税

不動産を買うと必ず収める税金です。これも細かい計算方法は省きますが、1500万円の物件であれば、十数万円でしょう。

 

印紙税

売買契約書に貼る印紙の代金です。1000万円超5000万円以下の売買の場合、1万円です。

 

⑤ローン手数料

ローンで購入すると、事務手数料や保証料などさまざまな名目で銀行に手数料を支払います。だいたい十数万円でしょう。

 

司法書士報酬

移転登記やローンの抵当権の設定登記は、司法書士にやってもらうことになります。現金で買えれば自分で行うこともできますし、安くやってくれる司法書士を探して節約することもできますが、ローンを組んだ場合はたいてい銀行側が用意する司法書士に任せることになります。だいたい6万~8万円くらいになると思います。

 

⑦固定資産税および都市計画税の精算金

1月1日の所有者(売主)がその年の分を支払います。よって、年度の途中で売買した場合は日割りでそれを精算することになります。

 

すべての諸費用を合算すると物件購入価格の6~7%というのが一般的なところでしょう。登録免許税や不動産取得税は固定資産課税標準額に一定の数値をかけて算出するものなので、ケースバイケースで調べるようにしてください。物件ごとに幅が出ますから、固定資産税課税標準額を仲介業者に教えてもらって、早めに正確に把握できるようにしたほうがいいでしょう。

大家さんが入ったほうがいい保険

大家が入る保険は、入居者が入る保険とはやや性格が異なり、建物そのものにかける保険です。火災保険の場合には、火災のほか、落雷、風災、雪災などによって建物が損害を受けたときに、その補修費用が出ます。さらに住宅総合保険の場合は右記に加えて、建物外部からの落下、衝突、水濡れ、盗難による毀損、汚損、水災といった損害賠償にも対応しています。

 

また、オプションで施設賠償責任、休業家賃補償、死亡事故で損害を被った部屋の修理費用や家賃の損失を補償する特約も付けられます。さらに地震保険も付ければ、一通りのリスクには対応できると思います。

 

この保険金額は、規模や構造、その地域の保険料率によって変わってきます。1500万円くらいの物件なら、年間に直すと2万円くらいでしょう。火災保険ではなく住宅総合保険に入るとまた保険料は上がって、年間で2万5000円くらい。さらに地震保険にも入ると4万円くらいかと思います。

 

築古物件の場合は何があるかわかりませんから、火災保険ではなく住宅総合保険に入って、さらに地震保険にも入ったほうがいいでしょう。保険料は高くなりますが、リスクを考えたらそれは購入予算に含めておくべきです。物件購入の際には、保険料としてさらに数十万円は払わなければならないということを覚えておいてください。

第5章 物件管理はプロにお任せ! いい管理会社の選び方

物件の管理は専門家に任せる 

物件を運営していくということは、その物件を管理していくということでもあります。管理というのは建物もそうですし、入居者と賃貸契約を結び、毎月家賃を徴収し、遅れがあれば催促し、退去の際も立ち会って敷金の精算、入居者からのクレーム対応など諸々の業務がそれに含まれます。

 

管理料は月額家賃の5%程度が相場ですから、冒頭に書いたような業務をすべて代わってもらえるのなら安いものだと思うのですが、いかがでしょうか。

決済までに管理会社は決めておく

管理会社選びは物件の調査や値引き交渉、金融機関との融資交渉などと並行して進めて、決済までに決めておく必要があります。決済して自分の所有になったら、すぐに管理会社も替わって、契約の引き継ぎをするというイメージです。

 

普通は何も言わなければ、売買のときに仲介した元付けの不動産屋がそのまま引き継ぐケースが多いのですが、僕はそれをあまりお勧めしません。なぜかというと、その管理会社がよくなかったから、前オーナーが物件を手放さなければならなくなったかもしれないからです。

入居率が悪くて売却に至ったとすれば、大家の資質はもちろんでしょうが、管理会社の「客付け力」に問題があったのかもしれません。そのあたりは周囲の不動産屋から情報収集の際に、立地や建物設備、家賃設定に相応の入居率なのかを調査すればわかってくると思います。

 

もちろん管理会社に問題がなければそのまま引き継いでもらえばいいわけです。

管理会社は地元の会社のほうがいい

管理会社は遠隔地にあるというのはよくないです。住民からなにかクレームが入って、様子を見に行くということは割と多いですし、そのときに遠隔地ではついつい放置しがちになってしまうでしょう。一方でクレーム対応が迅速でないと入居者の満足度が下がり、それが退去につながっていくことは十分にありえますから、やはり管理会社は地元で探しましょう。

「ここに任せたい」いい管理会社の選び方

管理内容について、巡回はどれくらいの頻度でやるのか、共用部分や建物周辺の清掃は含まれるのか、別料金ならいくらなのかなど、そこも管理会社によってまちまちですので、比較検討の材料にしましょう。

 

そしてもっとも大事なのは、「大家の主導でリフォームを行えるかどうか」です。僕の提唱するやり方では、リフォームでいかに利回りを向上させるかが成功のカギですから、この主導権は絶対に自分で握らなければなりません。大家が自分で業者に発注してリフォームできるかどうか、必ず確認してください。 

第6章 大家さんの腕のみせどころ! リフォーム大作戦

自由な発想による「空間の企画力」が大事

満室経営を目指すうえで必要不可欠なのがリフォームです。物件の魅力を高め、入居者を呼び寄せ、家賃をアップさせるほどに手を入れれば収益性も向上させることができます。自分の思うままに裁量をふるって、それがダイレクトに反映されますから、まさに大家にとっては賃貸経営の醍醐味といえるかもしれません。

 

リフォームで大事なのは、「成約率を高める品質」と「空間の企画力」です。

リフォーム業者選びは相見積もりが鉄則 

物件購入後は、このリフォーム費が出費の大部分を占めることになります。安く、しかも質のよいリフォームをしてくれるリフォーム業者と信頼関係を築くことが、賃貸経営のカギを握るといっても過言ではないでしょう。

 

そうした業者をどうやって見つけるかというと、鉄則は「相見積もり」を取ることです。数多くの業者を呼んで、同じ条件でリフォームするとどうなるか見積もりをしてもらいその値段を比べるわけです。

 

住宅・建築業界では相見積もりを取るのが常識で、見積もり料金も基本は無料です。相手もそうされるのは普通のことだと思っていますから、遠慮することはありません。

 

大事なのは、最初に相見積もりであることをはっきりと告げること。

相見積もりで相場観を養う

相見積もりのいいところは、実際に業者を呼んで「ここをこう直したい」と相談をすることで、相場観を養えることです。

 

部材の価格はインターネットなどで調べられますから、それプラス人工代だと基本的に覚えておけば、相場がつかめるようになるでしょう。

 

職人が働いた作業料を「人工代」といいます。これはひとりの人に一日働いてもらって、およそ1万5000~2万50000円と幅があります。それはその業者の請負方針で決まっている場合もあれば、技術料に応じて腕の良い人は2万5000円で、スキルの低い見習の人だったら1万5000円となっている場合もあります。 

業者は値段で選んではいけない

相見積もりは値段だけでなく、これから自分の経営のパートナーとしてお願いできる業者を探す、いわばオーディションだと意識しましょう。

 

賢いやり方としては、「ぜひこの人にお願いしたい」という業者がいたら、相見積もりで出た一番安い値段を伝えて、「この値段でやってもらえますか?」と交渉することでしょう。これで受けてもらえればラッキーですし、多少は押し返されても、双方が納得できる金額で落ち着けばそれがベターです。

なにかと依頼しやすい地元の業者に頼むが吉

相見積もりを頼むときは、基本的には物件のある地元の業者に声をかけたほうがいいと思います。理由は、仕上がりがよくなかったら地元で評判が落ちてしまいますから、手抜き仕事をしづらいのとアフターフォローも頼みやすいからです。

 

特に築古の物件の場合は、常になにか問題が起こると思って間違いありません。利回りの高いものは、そういう部分のリスクも全部入ってその値段になっているわけです。水が漏れている、ガラスが割れてすぐふさいでほしいなど、近ければ緊急を要する場合に駆けつけてもらいやすいですよね。そういう緊急事態は意外と多く、テレビCMを打っている大手の業者に依頼すると高くつきます。ちょっとしたことであればサービスで、ついでに様子を見に行ってくれたりもしますから、やはり地元の業者のほうがお勧めです。

 

将来的にもそのエリアで物件を増やしていくのであれば、信頼できる地元のリフォーム業者を開拓すれば、あとは楽ですよね。「一部屋空くのでお願いします」「また物件を買うのでよろしく」と電話一本で依頼できるようになります。その関係ができるようになるまではたいへんですが、大事な事業のパートナー探しですから、骨を折る価値はあります。

第7章 入居者さん、いらっしゃい! 満室経営を生む極意

第一印象で大切なのは清潔感

包丁などは使わないと錆びて切れ味が落ちていきますが、部屋も同様に、内見のない状態が続くと雰囲気が悪くなっていきます。

 

ずっと閉め切った状態では空気がよどみ、一歩部屋に入った瞬間、においやほこりなどの気配が伝わってしまいます。あまりに長期間使われていないと、トイレやキッチンから下水の臭気が上がってきますから、悪印象は倍増です。また天井の隅に蜘蛛の巣が張っていたり、床に虫のし甲斐が転がっていたら……そんな部屋は絶対に選ばれないですよね。

 

ですから空室期間が長くなった場合は、定期的に掃除したり、水を流したりする必要があります。空室が続くからどんどん部屋の雰囲気が悪くなり、ますます選ばれなくなっていく……負のスパイラルに陥っている物件が世の中には多いです。

契約時は原則、家賃保証会社を通す

家賃滞納は賃貸経営にとって絶対に避けたいリスクですが、その保険となるのが家賃保証会社です。滞納や夜逃げなどがあった場合の家賃の取りはぐれを肩代わりしてくれます。だいたいひと月の家賃の50%程度の掛け金で、2年間の保証が受けられるのが相場です。

 

それが高いとみるか安いとみるかというのは人によると思いますが、僕は払う価値はあると思います。ただし家賃保証会社のほうも商売ですから、独自に審査して、危ないと思う入居希望者は断ってきます。

 

僕は原則的に、家賃保証を受けることができる人だけに入居してもらっています。

日本株独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法

前書き

今日は堀哲也さんの『日本株独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』について、私が気になった部分を書いていきたいと思います。 

著者について

著者の堀哲也さんは、7年間で60万円の資産を3億円に増大させた日本株専門の投資家で、1971年生まれ。名古屋大学理学部数学科卒。岐阜県在住ということです。

はじめに

株式投資では、株価が一時的に上げすぎたり、下げすぎたとしても、銘柄の真の価値を大幅に超えていたり、割安になりすぎた株価は最終的には是正され、適正な水準に戻っていきます。

 

誰にでも得られる情報で勝ち組投資家になる方法は、投資家全般の評価と本当の評価の歪みを発見することが肝になります。

 

要は、自分以外の投資家が過渡に割安に評価している銘柄を買い、その銘柄が正当な評価を受けるまで待つわけです。

 

ただし、割安であればどんな銘柄でもよいわけではありません。評価の是正が見込める銘柄を選ぶ必要があります。

 

例えば、業績が良いにもかかわらず割安のま放置されている銘柄があったとします。

 

そのような銘柄は半永久的に割安のまま放置され、株価が上がらなかったりします。そういう銘柄を選んでいては、いずれ株価は上がるのかもしれませんが、時間がかかりすぎます。

 

しかし、そのような銘柄でも、決算で上方修正が出る、などのきっかけにより、投資家の注目を集め、割安さが解消されることもあります。そのような、「何かのきっかけ」が見込める銘柄をあらかじめ探して購入しておけば、割安さが解消される過程で利益を出すことができるわけです。

 

そして、そのような投資は、特別な情報を持たない個人投資家であってもすることができます。一番簡単なパターンは、市場全体が歪んだ評価をしている時期に投資することです。

 

こうした市場のゆがみを知り、必要以上に割安になった銘柄を買えば、株価が戻る時に利益を出せるわけです。

資産3億円を目指すための投資戦略

3億円を目指すための道のり

投資の世界では、60万円を120万円にするのも、1億円を2億円にするのも、手間とかかる時間はおおむね同じです。

 

60万円を120万円にするのは、そんなに難しくないような気がしませんか?

 

実際は、結構難しいのですが、これができればあとは同じことを9回するだけで3億円になるわけです。

資産を激増させるためには集中投資を

億単位の資産を作るためには投資を始めた最初のうちに一度くらいは勝負したほうがいいと思います。ここで言う「勝負」とは、集中的に1銘柄に投資することを意味しています。

 

というのも、資産規模が大きくなってくると、失敗した時に取り返しがつかないことと、特に小型株の場合は出来高が少ないため、大きな金額を1~2銘柄に集中投資することが難しくなるからです。そのため資産規模が大きくなるほどパフォーマンスが落ちるということが発生します。そうすると1年の目標倍数を達成するのが困難になってきます。

 

集中投資をすることによって資産が一気に増えれば、目標とする資産までの倍率を大きく下げることができますし、また、株式投資を行うにあたり精神的に大きく成長できます。

投資の経験を積む

株式投資をしていると、失敗・損失は絶対に避けて通ることはできません。私もいまだに多くの損切りをしています。

 

しかし、失敗するたびに原因を自分なりに分析して、同じ失敗をしないように今後気をつけるようにすることで、どんどん投資が上手になってきます。

 

精神力についても同様で、経験によって鍛えられます。私も投資を始めた頃は、わずかな損失でも気になりましたが、何度も成功・失敗を繰り返すうちに、億単位の投資をしても平常心でいられるようになりました。

 

誰だって、初めて投資をする時は本当にうまくいくのか気になるものです。しかし、最初のうちは投資額を自分の資産に比べて非常に少ない額に抑えておけば、多少株価が下がったところで平常心でいられます。

 

そして、成功しても失敗しても、経験を積んで少しずつ大きな額に慣れていけば、段々と規模の大きな投資に慣れてきます。

成功する人は他の投資家が買いたくなる銘柄を先に買っている

株で儲ける人は株価の歪みに気づいている

株式投資の世界で、そして短期投資の世界で勝ち残るには、他の投資家が買いたくなる株を先んじて買い、そして、いずれ誰かに高値で買ってもらわなければなりません。

 

株式投資の世界というのは、中でも短期投資の世界は、世界中の投資家が相手の富を奪い合おうと争っている戦場なのです。

 

あなたが株式投資で儲けるためには、その戦場の中で勝ち残らなければなりません。このことをしっかりと認識したうえで、株式投資に臨んでください。

市場の歪みが認識されるきっかけが出た時に株価が上がる

株価が上がるということは、なんらかのきっかけでいままでよりも高値で買いたい人(需要)が増えたということです。逆に言うと、株価が上がるためには高値でも買いたい人が増えるためのきっかけが必要であることになります。

 

「株で儲ける人は株価の歪みに気づいている」と書きましたが、その人たちは、市場の歪みによりその株が上がることを事前に読んでいて、先にその株を買っている人たちです。そして、その後、なんらかのきっかけがあって、高値でも株を買いたい人が増えたために株価が上がり、儲けられるのです。

業績が良い・割安でも株価が上がるわけではない

ファンダメンタルズ投資家の方は、好業績かつ割安な銘柄を探すのが大好きです。しかし、いかに好業績かつ割安であっても、その株を買いたい投資家が増えなければ株価は上がりません。

 

自分が買った後、買いたい投資家が増ることにより株価が上がるという原則の逆を考えてみると、後から買いたい投資家が増えなければ株価は上がらないということです。

 

得てして好業績かつ割安な株というのは、出来高も少なく割安な株価に放置されたまま大きな値動きをしません。ある意味、人知れずに割安に放置されているとも言えます。

 

では、どのような銘柄を選べば株価が上がって儲けられるのでしょうか。

 

それは、株価が上がるきっかけがある株を選ぶことです。

 

1つの例として、あなたがファンダメンタルズ重視の投資家であれば、業績の上方修正が見込める銘柄を買うということです。

 

すべての上場企業は3ヶ月に1回決算発表をします。決算を機に銘柄を売買する投資家はそれなりにいますので、決算発表によりインパクトのある業績の上方修正をすれば、新たにこの銘柄を買いたい人が現れて、株価を押し上げます。結果として、あらかじめそれを予想して株を買っていた人が儲けられるわけです。

 

会社の決算発表というのは、その銘柄が注目されるきっかけの1つになります。

 

決算発表に限らず、その銘柄が注目されるきっかけが思いつく銘柄を選ぶことが大事です。

 

では、どうしたらその銘柄が注目されるようになるのでしょうか。自分以外のプレイヤーの主な思考を先読みして考えます。

 

ファンダメンタルズ投資家の場合は、先の例で説明した通りです。

 

では、テクニカル投資家の場合は、どうでしょうか。

 

テクニカル投資家は、チャートの形を見て上がりやすそうな銘柄を好みます。「このチャートは上がる形をしているから買い」というように考えるのです。ですので、彼らの思考を先読みするためにも、テクニカルの基本を学ぶ必要があります。

 

では、デイトレーダーの場合はどうでしょうか。こちらは需給が崩れて勢いの出た株を狙います。

 

いずれにしても、投資対象としては、これらの投資家のうち、いずれかが今後買ってくれそうな銘柄を選ぶことが大事だということを忘れないでください。

投資すべき銘柄の選び方

どうやってギャップのある銘柄を探すのか

1つめは、「ヤフー! ファイナンスの銘柄掲示板」です。

 

にどうやって探すかですが、まずは、ヤフー! ファイナンス株式ランキングの中で検索数が上位の銘柄をチェックします。特に前日順位が低いにもかかわらず、順位を上げてきた銘柄です。このような銘柄は、なんらかの材料が出たりしてランキングが急騰した銘柄です。

 

そのような銘柄は株価の急騰材料が出ていながら、株価はまだ初動という場合があります。そういう銘柄は投資対象になる可能性があります。

 

また、出来高増加率上位銘柄もチェックします。

 

前日の出来高が少ないことによりランキングされている銘柄は除外します。ヒット率は低めですが、これもまだ初動の銘柄があることもあります。

 

これらの銘柄はなんらかの動きがある銘柄ですので、こうやってチェックした銘柄から投資対象がないかを探していくわけです。

 

私は『四季報』を見れば一目で95%以上の銘柄を却下できるので、ある程度の銘柄数を一気にチェックできます。

 

2つめは、「株探」です。

投資候補から除外すべき銘柄とは

ただし、前項で挙げたような銘柄を全部チェックすると膨大な数になりますので、ここで対象をある程度絞ります。

 

例外もありますが、以下のような銘柄は調査対象から除外します。

 

除外する銘柄その1 → 日経225採用銘柄、または時価総額が1000億円以上の銘柄

 

要するに一流企業ということですね。年に数パーセントの利益を積み重ねる投資であれば選択肢としては正しいですが、数十万円の元手から億単位の資産形成を目指す本書の主旨を考慮すると、選択肢としては残りません。このような会社は株価が何倍にもなるような大化けをすることはまずないからです。

 

さらに、このような一流銘柄は、大口投資家が主要銘柄の1つとして持っていることが多く、またプロの海外投資家も十分分析しているため、株価が真の価値と乖離することが皆無です。ギャップをとりに行くという点からも、プロの大口投資家を大勢相手にする意味からも避けたほうが無難と言えます。

 

除外する銘柄その2 → 買いの理由が弱い銘柄

 

掲示板にせよ、別の何かにせよ、投資候補として選んだ銘柄には何か買いの理由があるはずです。掲示板で銘柄を探したのであれば、その銘柄の掲示板の投稿内容を読んでみましょう。

 

たいてい誰かが、その銘柄を買う理由を書いていてくれていますので、調べる手間が省けます。そして、その理由が真に投資に値するかを自分で判断します。

 

まず、その投稿内容を見て、これはすごいと思えるかどうかです。ここでピンと来ないようでしたら、その銘柄の良さがわからないか、大した魅力がない銘柄ですので、その銘柄に投資するのは避けたほうが無難です。

 

何か、その銘柄に特別な魅力を感じた時にさらに詳細に調べていき、その銘柄に投資すべきかどうかを判断するわけです。

 

除外する銘柄その3 → すでに株価が割高になっている銘柄

 

成長余地があり、十分な買いの理由があったとしても、投資を避けるべき銘柄があります。それは、ひと言で言えば割高な銘柄。あるいは、買いの理由がすでに十分株価に織り込まれている銘柄です。

 

このような銘柄は、買いの理由を考慮しても、株価とのギャップがすでに埋まっており、ギャップが解消する過程での株価上昇が見込めません。

 

とはいえ、割高かどうかを判断するためには、かなりの熟練を要します。

投資すべき銘柄かどうかの判断のしかた

こうして絞った銘柄について、実際に投資すべきかどうかは、どうやって判断したらいいのでしょうか。

 

基本的な判断基準は、

 

  • その銘柄の真の価値と株価に「ギャップがあるか」
  • そのギャップが埋まるための「きっかけがありそうか」

 

の2つを考えます。両方に当てはまれば投資対象となります。

 

具体的には、以下のような事例が考えられます。

 

その銘柄の買いの理由は本来もっと評価されてよい銘柄であるにもかかわらず、株価はそれに対応していない。

業績的に上方修正が見込まれるにもかかわらず、株価が上方修正を織り込んでいない。

赤字のため株価は低く抑えられているが、近いうちに黒字化が見込める。

大口投資家等の空売り等により、株価が異常な安値に抑え込まれている。

悪材料が出て株価が一時的に落ちているが、悪材料は一時的なものでいずれは解消するものである。

 

それでは、それぞれについて具体的に説明していきましょう。

上方修正期待銘柄の探し方

まず、上方修正期待銘柄の探し方について説明します。

 

この場合の基本方針は、上方修正による良化した業績と、現在のまだ好業績が織り込まれていない株価とのギャップをとりに行きます。そして、上方修正や決算がきっかけとなってギャップが埋まる過程で株価が上昇するわけです。

投資候補の銘柄はこうして探す!

銘柄候補は。「株探」で探しています。サイトの中の、「銘柄探索」のタブをクリックすると、ズバリ「業績上方修正が有望銘柄」という記事が載っています。

 

ここでは例として、「【中間期】時点 通期上振れ 有望銘柄」を選んでみます(他の記事を選んでも決算の月数が違うだけなので、同様のことが可能です)

 

すると、「進捗率」という項目の高い銘柄が、すでにスクリーニングされています。ここに掲載された銘柄から対象を絞っていきます。

 

①進捗率が67%以上(6か月中間決算の場合)

②5年平均進捗率と実際の進捗率が乖離している(差が10%以上である)

③PER(株価収益率)が20倍以下(銘柄数が多い時は、もう少し厳しくする)

 

さて次は、こうして出てきた候補銘柄を順次調べていきます。リストにあげた1つひとつの銘柄について以下のチェックを繰り返します。

 

まず、現在の株価をチェックしましょう。

 

これを記録しておき、次に会社のホームページで最新の決算短信を見ましょう。

最新の進捗率を確認する

最新の「決算短信」で進捗率を見てみましょう。

 

進捗率が低くなってしまった銘柄は、除外して次の候補銘柄を調べに行きます。

株価が割安かどうかを見るため期待PERを計算する

次に、今後予想される上方修正によって、現在の株価は割安と言えるかどうかを計算します。

 

5年平均進捗率が50%以下の銘柄の場合は、単純に半期のEPSを2倍にして計算します(要するに、半年の利益の2倍を1年の期待利益として計算する)。

 

次に、現在の株価から計算で出したEPSを割って、期待PERを計算します。

割安かどうかを検討する

では、この計算で出した数値は割安と言えるのでしょうか?

 

それを 判断するため、その銘柄の過去のPERと比較します。

 

もし、ギャップが埋まっていない銘柄を発見した時は、最後にその銘柄の決算短信の説明文だけは読むようにしましょう。

 

今季だけの特別利益などがある場合、決算短信に記載してあることがよくあるからです。

 

これは有望だという銘柄を見つけても、最後に投資をするにあたって不安要素がないかを決算短信で確認するようにしてください。

赤字会社の中から業績回復が見込める会社を探す

次に、赤字会社であるため株価が低く抑えられているものの、黒字化が見込める銘柄について説明します。

 

この場合の基本方針は、黒字化後の好転した業績と、現在の赤字による低い評価の株価のギャップをとりに行きます。そして、決算等により実際に黒字化することがきっかけとなってギャップが埋まるわけです。実際、黒字化すると株価が急騰する場合が多いのです。

 

このパターンの場合、自分で業績の黒字化を予想しなければなりませんので難易度は高くなりますが、得られる利益もその分、多くなります。黒字化する会社を一律の方法で見つけることはできません。

 

特に、月次データを公表している会社(飲食系の銘柄に多い)や、ゲームの売上ランキングから会社の売上が予想できるゲーム会社などは、こうした方面からのアプローチが有効です。

株価ギャップを探す様々なパターン

ここまで、株価のギャップを探すための2つの方法を説明しましたが、パターンは無数にあります。そこで、私が実際に大きな利益を出した、これ以外のパターンをいくつか紹介します。

「買収されそうな会社」を狙う

1つめは、買収されそうな会社を先回りして買うというものです。

「成長性の高い会社」を狙う

2つめは、成長性が高かったり、M&Aで大きくなりそうな会社に投資するというものです。

 

高成長企業であっても、ある程度企業規模が大きくなると安定運営になる会社が多いので、その時期になったら利益確定することになります。

「株価が意図的に抑えられている会社」を狙う

3つめは、株価が不当に安く抑えられている株を狙うというものです。

 

大口投資家は有望な銘柄の株価を一時的に、あり得ない安値まで売りたたくことがあり、これも1つのギャップです。

 

ですので、そのような安値の株を買い、一時的にはさらに下がるでしょうが、株価が上がる材料が出るまで持ち続けることができれば、株価急騰の恩恵を受けることができます。大口投資家が意図的に起こしたギャップをとりに行けるわけです。

「新技術を持つ会社」を狙う

4つめは、新技術や特許などで注目されている銘柄を探すというものです。

 

ただし、選定する場合は注意しなければならないことが様々あります。

 

注意点の1つめは、「自分で内容を理解できない技術の場合は投資しない」というものです。

 

2つめの注意点は、「その新技術の将来的な市場規模が大きいかどうか」っです。

 

3つめの注意点は、同じような技術を持った「ライバル社に対して優位性があるか」というものです。

 

最後の注意点は、「投資をした後の株価の動き」についてです。このような会社の株価はだいたい2段階に分けて上げる場合が多いのです。

 

第1段階は、その新技術による株価上昇を狙いに来た短期投資家が一斉に買いに来ることによる株価上昇です。

 

第2段階の上昇ですが、これは話題となった新技術が実用化されて利益の見込みが立ってきた時に起こります。

会社の業績を一瞬で判断するための最重要ポイント

四季報』で業績の良い銘柄を一目で見分ける法 

 

基本的に、投資をするのは、業績が良く割安な銘柄を選び、その中でチャートや需給を見てタイミングの良い時に購入することです。

 

チェックすべき点  その1 売上と営業利益

 

まず、「売上と営業利益が増え続けている」か否か。

 

チェックすべき点 その2 従業員数の増加

 

次に確認したいのは、「従業員数が増え続けている」か否か。

 

チェックすべき点 その3 財務の健全度

 

3つ目は、「財務が健全」か否か。

 

  • 自己資本比率が15%以上(かなり緩めです)ならOK
  • 1株当たり純利益が連続でマイナスになっていないならOK
  • 営業CFがマイナスかつ有利子負債が多い場合はNG(これは景気後退期の場合)

「割高な銘柄」を避ける3つの方法 

四季報』を見て、以下の項目に該当する銘柄は、もし、低PERの銘柄であっても基本的に投資対象とするのは避けましょう。

 

避けるべし → 1株当たり純利益が1年だけ高くて前後の年は低い銘柄

 

特定の1年だけEPSが高くなる、よくあるパターンとしては、企業買収等によって負の暖簾がついた、資産を売却したことなどで特別利益を得たケースなどがありますが、本業で得た利益ではありませんので、会社の実力でPERが低くなっているとは言えません。

 

避けるべし → 営業利益に比べて経常利益が極端に高い銘柄

 

そのような銘柄は、本業とは関係ない受取利息・配当。投資による利益など、いわゆる財テクで稼いでいる会社です。

 

ですので、営業利益に比べて経常利益が極端に高い銘柄は、営業利益の6割程度を純利益として計算しなおして、その純利益で割安かどうかを判断すべきだと考えられます。

 

避けるべし → 経常利益と純利益がほぼ同じ銘柄

 

過去に赤字を出している会社の場合、7年間は利益と相殺することができますので、過去に赤字を出していた会社に多いパターンです。

 

業績が横ばいの場合、累積赤字がなくなると、その後は普通に法人税を払うようになります。すると、業績が横ばいであっても純利益が一気に下がってPERが跳ね上がります。

 

ですので、このような会社については、純利益を経常利益の6割に計算しなおして判断すべきでしょう。

決算短信の内容も確認しよう

決算短信や投資家用資料を詳しく分析することは、市場評価とのギャップを知る重要な手段になります。そして、上方修正を出す時期など、そのギャップがどのような時に公になるかを前もって知ることができる場合もありますので、投資の参考にしましょう。

他の投資家の心理を読めば勝てる!

材料が出ていない時の株価の動きを知るためには、他の投資家の心理を読まなければなりません。具体的には、世の中にはどのような投資家がいて、どのような判断で投資を行っているのかを知っておく必要があります。 

 

別に世の中のすべての人の心理を読む必要はありません。世の中の投資家をいくつかのカテゴリに分類して、それぞれのカテゴリの人達がどう考えているかが、だいたい読めればいいのです。

 

株式投資というものは、富を奪い合う戦争をしているものだと書きましたその戦争で勝ち残るためには、敵である対戦相手のことを知らなければなりません。そこで、この章では事例を踏まえ、他のプレイヤーの思考を読む方法を紹介します。

デイトレーダー」の投資法から需給を読む

一般的なデイトレーダーのような超短期投資家は、銘柄・業績は二の次で(人によってはまったく考慮せず)、値動きが良くていつでも売買できる(出来高の多い)銘柄をトレード対象とします。

 

そして、投資対象となった銘柄群の動きを確認し、これは上がりそうだと判断した株を買い、下がりそうだと判断した銘柄を空売りするわけです。

 

デイトレーダーは、その銘柄の材料などはほとんど無視して、需給バランスが崩れた銘柄の株価の急騰または急落の動きに乗って利ザヤを稼ぐことになります。

 

そして、あなたが投資の世界に身を置く限りは、世の中にはこのような投資家がいて、株価を動かしていることを知っておくことが大事です。

中長期の需給を判断するポイント

見るべきポイントは3つだけです。

 

「チャート」と「出来高」と「信用残高」です。

 

日々の出来高に比べて極端に信用残高が多い銘柄は、今後反対売買の予約が入っていることを覚えておきましょう。

「ロウソク足」と「出来高」から上がる株を読む方法

上がる前のチャート「パターン1」

具体的な条件は以下の通りです。

 

  1. ロウソク足の底値が徐々に切りあがっている。
  2. 出来高が徐々に減ってきている。あるいは減ったままの状態である。
  3. 近くに大きな株数の売り板が存在しない。

 

まず、出来高が減ってきているということは、売りたい人・買いたい人ともに減ってきているということです。

 

買いたい人が減ってきているのであれば、売りたい人は少し妥協してでも株を売ろうとするはずです。その場合、ロウソク足の上値が徐々に切り下がっていくチャートになります。

 

すぐ上に大きな売り板があれば、買いたい人はその大きな売り板から株を買うはずだから、3点目の条件を満たすことにより、買いたい人は欲しい株が買えずに、少しずつ上の値段の売り板を渋々買っていることがわかります。

 

そして、このパターンが出てくると、誰かが我慢できなくなって、いずれここから上の売り注文を一気に買いに来るのです。

上がる前のチャート「パターン2」

具体的な条件は以下の通りです。

 

  1. ロウソク足がおおむね上昇傾向である。
  2. 直近数日は株価の変動が少ない。
  3. 直近数日の出来高がおおむね減少傾向。

 

株価上昇の妨げになる短期的な売りが枯れたのを見計らって、大口は株価をあげにきます。そして、高値圏では1日の出来高と値動きを大きくし、デイトレーダーなどの短期投資家に高値で売りつけるのです。

 

株価が上がるチャートと出来高のパターンは無数にありますので、急騰した銘柄がどのようなチャートの動きをしていたかを見るようにして、慣れてきたらチャート・出来高からこの先株価がどう動くかを予想する癖をつけるようにしましょう。数をこなすことで、株価の動きを読む技術が格段に上がっていきます。

成功率を大きく高める売買タイミング

メジャーなテクニカル指標は、株価の値動きに無視できない影響を及ぼします。ですので、株式投資をするのであれば、テクニカルについてもある程度は学んでおくべきです。

 

抵抗線支持線

抵抗線」とは株価の上値同士を結んだ線のこと。このラインのあたりまで株価が上昇すると売り圧力が高まり、価格が下落するような価格帯ラインです。上に行く抵抗になるため抵抗線と呼ばれます。「支持線」は、逆に株価の下値同士を結んだ線のことです。抵抗線と同様に、このラインあたりまで価格が下がると買いが優勢になって反発する可能性が高くなります。下値を支えるため支持線と呼ばれます。

 

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドは、移動平均線と、その上下に値動きの幅を示す線(移動平均線との乖離)を描いた指標です。上下の線は、「±1σ、±2σ、±3σ」があり、±1σでは約68%の確率でその線の範囲に収まり、±2σでは約95%が収まることを示します。

 

移動平均線

直近の過去数日間の終値を平均した価格をつないだ線です。よく使われるものは、例えば日足チャートでは5日線、25日線、75日線など。5日線であれば、過去5日間の終値の平均になります。それぞれの線の方向から株価の動きを判断したり、乖離から株価の短期的な動きを判断したりします。

買う前に目標株価を決めておく

続いて、株を買う前に株価について考えておくべきことを述べておきます。それは、自分の中で目標株価を決めておくことです。

 

私の投資手法の根幹は、現状とその銘柄の真の価値とのギャップのある銘柄を探し、そのギャップが埋まる過程で株価上昇の恩恵を得るというものです。であれば、その銘柄の真の価値=目標株価を決めておく必要があります。

 

そして、実際の株価の動きとしては、一度適正株価を超えて大きく上昇し、最終的に適正株価に落ちついてくるという動きをする場合が多いのです。経験上、高くても適正株価のだいたい2倍くらいが上限になることが多いので、適正株価を超えてきたら天井が来ないか注視し、あるいは少しずつ利益確定を始め、適正株価の2倍まで来るようであれば、残り全部を利益確定するのが無難です。

株を買うタイミングは

上方修正銘柄は決算の1週間前が狙い目

まずは、上方修正期待銘柄の場合です。

 

業績の上方修正は決算の1週間前頃に出ることが多いです。というのは、決算予想を一定以上の割合で変更する場合は1週間前までにIRを出す必要があるからです。したがって、購入のタイミングは、決算の1週間よりもちょっと前が最もいいタイミングになります。

 

ただし、中には早く上方修正を出してくる銘柄もありますので、その銘柄の過去のIRの出し方をチェックし、そういう銘柄であれば早めに購入しておく必要があります。

 

注意点としては、明らかに上方修正が他の多くの投資家に読まれていて株価が上昇を始めている場合は、より早めに購入したほうがよい場合もあることです。これについては株価の動きを見て臨機応変に対応しなければなりません。

 

次に、黒字化が見込める赤字会社の場合です。

 

これも基本的には、上方修正銘柄と変わりません。黒字化という誰にでも好材料とわかるIRが出る前を狙うことになります。

株を売るべき3つのタイミング

基本的には、「適正株価を超えたら売り始め、2倍まで来たらすべて売る」というものです。 

 

それ以外の基準の1つめは、ローソク足出来高から見る方法です。

 

「いままでに比べて1日の値幅が大きくなり、かつ、出来高が急増した時に売る」というものです。

 

2つめの基準としては、「株価が25日移動平均線を割り込んだら売る」というものです。ここから盛り返す銘柄もあるにはあるのですが、ここを割り込むといったん大きな調整をする銘柄も少なくないため、25日線を割った銘柄は売却するのが無難です。

 

3つめの基準として、上方修正銘柄や材料銘柄での方法ですが、「上方修正や材料が出たら翌日に売る」というものです。

 

株価が上がっていくためには、そこから新たに高値を買ってくれる人が必要です。上方修正銘柄の場合、上方修正が出てしまえば直後に買いたい人は別にして、後から高値を買ってくる人などないことになります。ですので、ストップ高で張りついている場合を除き、上方修正が出た翌日には売ってしまって問題がありません。

資産3億円を達成するために必要な自己コントロール

一番大事なのは冷静な判断力を失わないこと

鉄則1 本業が手につかないような投資はしない

 

不安でしかたがない人はポジションのとりすぎであることがほとんどです。

 

鉄則2 自分と反対の意見に耳を傾ける

 

自分が選んだ銘柄に投資したら、本当にその銘柄に弱点はないのか確認するためにも、そして、自分の持っている銘柄を冷静に客観的に判断するためにも、自分と反対の意見に耳を傾けるようにしてください。

 

鉄則3 損失の責任は自分にあると自覚する

 

あなたが今後投資で失敗して損失を出したとしても、冷静に失敗の責任を認めることにより、失敗の原因を分析して次に生かすことができるのです。そうすることで、あなたは勝ち組投資家に一歩一歩近づいていくのです。

 

鉄則4 株で買った時こそ油断しない 

 

連続して成功した時こそ油断せず、冷静になりましょう。

株式投資にあたって実践すべきこと

実践1 買う時は必ず自分の言葉で買う理由を書く

 

1つめの理由として、株を買う理由を自分の言葉に落とし込めない人は、「失敗の責任を自分でとれない」からです。

 

2つめの理由は、「持ち株を冷静な判断で売ることができるようになる」からです。

 

もし、買った理由が1つも崩れていないのでしたら、株価が急落しても持ち続けることができますし、買った理由が崩れているのでしたら、買った判断が誤っていたということで、冷静に売却する決断ができます。

 

実践2 損切りは必要な時だけ行う

 

買った理由が1つも崩れていない銘柄は今後上がる可能性が高い株と言えますので、損切りする必要はないわけです。

 

実践3 定期的に株価・IRをチェックする

 

株式投資をしている場合、定期的に保有する銘柄の株価とIRをチェックしましょう。頻繁に株式の売買をしている人は毎日、そうでない人も最低1週間に1回はチェックしましょう。

 

実践4 持ち株の1つが倒産しても耐えられる投資を

 

どんな一流企業でも盲信しないようにしましょう。具体的には、株式投資を行う場合は、持ち株のどこか1つが明日倒産しても投資を続けられるように資産配分しましょう。

 

実践5 有望な株がない時は現金を持ち続ける

 

先行きが不透明な中で十分な調査や投資に値する理由が希薄なまま株を購入するのはギャンブルに過ぎず、資産を減らす大きな要因になります。

 

実践6 負けた時は原因分析し、投資の糧にする

 

損失を出した時は自分なりに原因を分析しましょう。そして、同じ失敗を二度と繰り返さないことです。失敗のたびに原因を分析して自分の投資方法を洗練させていけば、次からは、上達してより儲けやすくなります。

 

実践7 自分の都合で株を売り買いしない

 

どうしても現金が必要な時があるかもしれませんが、急に現金が必要になったからといって、株式を売って現金を用意するのはできる限り避けましょう。

 

実践8 目標額に達するまでは儲けても使わない

 

億単位の資産を株式で築きたいのであれば、途中で儲けてもその儲けを使ってはいけません。儲けたお金をさらに儲けるための歯車を回す必要があります。

 

実践9 勝っている人の意見を参考にする

 

身の周りにいる 、あるいはネットで知り合った、株式投資で実際に利益を出し続けている人の意見を参考にするのが成功への近道になります。

 

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ピーター・リンチの株で勝つ

前書き

今日は株式投資の本で有名な『ピーター・リンチの株で勝つ』から、私が気になった部分を書いていきたいと思います。

著者について

著者のピーター・リンチは77年より株式投資信託マゼラン・ファンドの運用にあたり、90年に引退するまでの13年間に同ファンドの資産を2000万ドルから140億ドルへ世界最大規模に育て上げた人です。

序章

投資家として成功するためにはとくに流行を追う必要はないことを、経験が教えてくれている。事実、偉大な投資家のほとんどは、(ウォーレン・バフェットをはじめ)科学技術恐怖症である。彼らは自分が理解できないものは保有しない。

 

株式に投資する場合の成否は早かれ遅かれ収益による。株価の今日や明日、または来週の動きは単なる気粉れでしかない。

 

店の好み、製品、レストランなど、その会社に興味を持ち、調査リストに載せるのは結構なことだが、それだけでは株を持つのに十分とは言えない。利益見通し、財務状況、競争上の位置、成長計画などなどについての宿題を済ます前には決して投資をしてはいけない。

はじめに

話題の銘柄や証券会社の推薦銘柄、専門誌の「今週の銘柄」などは無視して、自分自身の調査にもとづいて投資すべきだろう。

 

少し意識的に自分の仕事や近所の商店街などで起こっていることを見るだけで、ウォール街が気がつくよりずっと以前に、すごい銘柄を見つけることができる。自分の働いている業界の変化や、消費者としての情報を意識的に利用すれば、10倍になる株を見つけられるだろう。

 

一般投資家のなかには、町に行ってドーナツを食べることが株式の基礎的調査の第一歩になる、と気づいていない人が多く見られる。かえって、何も知らないわかりにくい会社への投資のほうが安心していられるような変な投資家心理がある。理解できない高級そうなものに大事な金を預けようというような不文律が、ウォール街にはあるようだ。近所にある会社なんかはつまらないから避けて、見たこともない商品を生産している会社を探せとでも言っているようだ。

 

株式投資を始める前に幾つかチェックすべきことがある。相場をどうとらえるか、「米国株式会社」を信頼しているか、本当に投資する必要があるのか、投資に何を期待しているか、短期にするのか長期投資に徹するのか、突然株価が急落したらどう対処するか、などである。投資を手掛ける前に、目的を決め、自分の態度をはっきりしておくべきだ。もし優柔不断で確信が持てないと、株価が最悪のときにすべての希望や分別を投げ捨てて最低の株価で売ってしまう、いわば、相場の犠牲者になる可能性が高いからである。慢性的に損をする者と成功者との分かれ道は、知識や下調べとともに性格的な心構えにある場合が多い。投資家の運命の決め手は、相場や選ぶ銘柄ではなく、投資家自身なのだ。

株式投資家になるまで

株式投資は科学というより芸術であり、何でもはっきりと数量化したがるタイプの人間には向かない。もし株を選ぶのに数量化が可能なら、クレイのスーパーコンピュータをちょっと借りて、大儲けができるはずだ。実際にはそうは問屋がおろさず、投資に必要な数学的知識は、クライスラー社は現金が10億ドル、借金が5億ドルあって云々という程度の、小学校四年生くらいの算数の知識で十分である。

ウォール街の矛盾した表現

たとえばあなたが資産10億ドルの企業年金を運用するとしよう。いろいろな規則を順守すると40社くらいしか対象企業のリストに残らない。しかも一つの株は総資産の5%までしか買えないので、最低20銘柄に投資しなくてはならず、そして最高でも40銘柄である。

 

この場合、2500万ドルの投資が総発行株式数の10%以下にしかならない会社に限られ、そうなると急成長中の小型株への投資など無理だ。えてしてこういう小型株に10倍株が含まれているのである。

鏡の前のテスト

「万一失敗したとしても、将来的に見て、毎日の生活に支障のない余裕資金の範囲で株式投資をすべきだ」

 

自分が持つ変な信念や思い込みを除かなければならない。ほとんどの人が株価や金の値段や金利について、表立っては言わなくても感覚的な信念を持ちやすいものだが、現実には考えとは反対に間違いの繰り返しになることが多い。人々は株が上がるとか景気がよくなるとか勝手に思い込んでは、正反対の現実にうちのめされていることのほうが多い。

 

人間の性格は、えてして相場のタイミングとずれがちである。意志の弱い投資家は、迷い、納得、あきらめ、という三つの感情の間を行き来して気持ちが揺れている。相場の下落や景気の落ち込みを心配するあまり、よい銘柄をバーゲン価格で買えるせっかくのチャンスを逃し、その挙げ句、高値で買い込み、その後のちょっとした値上がりで大満足してしまう。こういうときこそファンダメンタルズをチェックして、いつ売るかを考え始めるときなのだが、むしろ有頂天になってしまう。結局株は下がり、買値を下回ったときに降参して売ってしまう。

 

長期投資家を自負している人でも、株価が大きく下がると一転して短期投資家になり、大きな損か、せいぜい少しの益で売り離してしまう。

 

みんな、居眠りしようとすべきなのだ。相場の先行きを予測するには、人の意見を聞くのではなく、むしろいびきをかくことだ。また、自分の相場観を信じるよりは、むしろ無視できるように心掛けることだ。会社の業績などの先行きに変化がない限り、持ったままでジッとしていることだ。

相場はよいかって? そんなことを聞かれても困る

はっきりしていることは、株で金儲けをするのに株式市場全体の予測をする必要はないということだ。

 

株式相場は全くもって不合理な動きをするものである。このことさえ理解してもらえれば、この本は成功だったと言っても過言ではなかろう。もし私の言うことが信じられないなら、せめてウォーレン・バフェットの言うことは信じてもらいたい。彼にすれば「私に関する限り、株式市場は存在しないも同然であり、あれは誰かが愚かなことをするチャンスを与えている場に過ぎない」ものなのだそうだ。

 

よい銘柄さえ選べば相場のほうは気にしなくてもよい。

10倍株をねらえ

テンバガーを見つけるには、まず自分の家の近くから始めることだ。裏庭になければ、商店街や、職場である。成功の兆しは地域の至るところで見つけることができるはずだ。誰もが「こいつはいいぞ、株のほうはどうなっているんだ」と思うチャンスがあったはずだ。それもウォール街の連中が気づくよりずっと前に。

 

普通、年にニ、三回かそれ以上、こうしたチャンスに出くわすものである。

 

自分の知らない株を買って幸運にも儲かる人もいるかもしれない。だがそれはマラソン選手がその名声をボブスレーに賭けようと考えるのと同様に、あえて自らハンディキャップを負うようなものである。

 

ある業界についての知識が有望株を見つけるのにどれほど役立つか、いくらでも書くことができるが、そのほかに一般消費者の知識がある。これは、急成長する新興の中小企業、とくに小売業のなかから有望株を拾い出すのに役立つ。どちらの知識を使うにせよ、素晴らしいのは、ウォール街に先んじて有望銘柄を見つけ出す自分自身のシステムをつくることができる点である。

ついに見つけたぞ! 何を?

もしも、ある製品の好調さを理由にその会社の株に投資しようと考えているのであれば、その製品の成功がどれほどその会社の収益に寄与するのかを調べるのが先決である。

 

会社の規模は株価の動きに大いに影響する。あなたが株を買った会社はどのくらいのサイズなのか?会社の製品が特殊な場合を除き、大きな会社の株はあまり値動きがない。ときには大きく動くこともあるが、やはり小さい会社の株のほうが大きな動きを見せる。

 

時として一連の不運から大会社が窮地に陥ることがあり、そこから回復するときには株価が大きく動く。

 

他の条件が同じとすれば、小さい会社ほど株価がよく動く。

 

これまで、各業界における会社の規模による位置づけによって株価の動きを考えてきたが、次には六つの一般的な分類のなかで各企業の株価の動きをとらえることにしよう。すなわち、低成長株、急成長株、市況関連株、業績回復株、資産株の六つである。

低成長株

大きくて古い会社は、通常GNPより少し大きい成長率を示す。これら低成長株も初めからそうだったのではなく、最初は急成長株だったものが、限界に達したか、努力をやめたかでついに停滞してしまったものである。ある産業が停滞するときには、その産業に属するほとんどの会社がやはり勢いを失うことになる。

優良株

低成長株を上回る成長をし、年率10~12%程度の成長が期待できる。

急成長株

年に20~25%の成長を遂げ、うまくすれば株価は10倍から40倍、あるいは200倍にもなりそうな積極性のある小企業。

 

急成長株が急成長産業のなかにあるとは限らない。実際、そうでないほうが多い。

 

成長を続けられる限りは、急成長会社の株価のほうも急上昇する。私ならば、財務内容がよくて収益性の高い会社を探す。要は、いつ成長が止まるか、そしてどれだけの資金をその成長に賭けるべきかを見極めることである。

市況関連株

市況関連株とは、売上げと利益が循環的に上下する企業の株式を言う。成長産業では業績は拡大を続けるが、市況関連産業では拡大と収縮を繰り返す。

 

市況関連株は最も誤解されやすいタイプの株である。不注意な投資家が安全と信じて買って損をするのが市況関連株だ。ほとんどの市況関連株が大きくて有名な会社の株なので、優良株と混同しがちなのである。

業績回復株 

業績回復株は、会社更生法の世話にはならなかったものの、大いに痛めつけられて、業績不振の淵から立ち直ったというような企業の株である。

 

たまに出る業績回復株の大当たりはたいへんな儲けをもたらすものである。

資産株

ウォール街の連中は見過ごしていてあなたは知っているというような何らかの資産を持っている会社の株を資産株と言う。

 

資産とは、現金のように単純なものもあれば、不動産もある。

 

まず、第一歩として、株がどのカテゴリーに属するか調べるべきだ。これで少なくともどういうストーリーになるかがわかる。次にそのストーリーの結末を知るべく、細部を詰めていくのである。

完璧な株、なんて素晴らしい!

基本のビジネスがよくわかっていれば、その会社を理解するのもずいぶん楽である。だから、私は、通信衛星ではなくストッキングに、光ファイバーではなくモテル・チェーンに投資するのである。単純であればあるほど、私は好きだ。「この店はどんな馬鹿でも経営できる」と誰かが言えば、いずれは実際そうなるのだから、これは私にとってはよい材料なのである。

私が避ける株

私が何より避けたいのは、超人気産業のなかの超人気会社である。ニュースを賑わし、誰もが通勤途上でも耳にし、つい周囲に押されて買ってしまうような株である。

 

人気化した株は急騰するが、夢を買っているだけなので、落ちるときも急だ。もし人気株を売るだけ利口でないなら、すぐに株価は下がり始め、それも急激に、そして買値より下まで落ちていくものである。

 

忘れてしまいがちなのは、もしその会社の見通しがそんなにものすごいのなら、来年か再来年でも投資するのに遅くないということである。会社が実績をあげてからでも間に合う。評価を確立した会社からでも10倍株はとれるものである。疑わしきは待てだ。

収益、収益、そして収益

何を基準にして株価が上がると言えるだろうか。買うとしても、いくらで買えばよいのか。

 

それは、その会社がどのくらい値打ちがあるか、そして明日は今日よりどれだけその値打ちが上がるかということである。それには数多くの理論があるが、私にとって重要なのは収益と資産であり、とくに収益である。時として株価が会社の内容に追いつくのに何年もかかり、しばらく低迷して、投資家には株価はもう上がらないのではないかと思わせることがある。だが、会社の内容(値打ち)は必ずいつか正しく評価されるものである。収益と資産をもとに株を分析するのは、コインランドリーやドラッグストアやアパートを買う場合とまったく同じである。株とは、宝くじではなくて、ある会社の部分所有権だということを忘れてしまいがちである。

 

株価と収益を並べたチャートをみれば、どのチャートでも株価と収益のラインが並行しているのがわかるだろう。もし株価のラインが収益のラインから外れていたとしても、そのうちまた収益のラインに近づいてくるものである。

 

ある株のPERが40倍で、他の株のほうが3倍だとしたら、それは前者の将来の収益向上に大きな期待が持たれており、後者のほうは疑問視されているということだ。

 

また、急成長株ほどPERは高く、低成長株ほど低く、市況関連株はその中間であることにも気づくだろう。電力株の平均は7~9倍、優良株は10~14倍、急成長株は14~20倍といったところである。PERの低い割安株だけを買おうとする人がいるが、私には賛成しかねる。リンゴとオレンジを比べるわけにはいかないのだ。

 

自分の持ち株のPERが産業平均と比べて、高いか、低いか、適当か。「これはこの業種では割安です」と言われれば、そのPERが低いということである。

 

またある株のPERの過去の記録も入手できる。株を買う前に過去数年のPERを調べることで、株価水準もつかめる、

 

PERについての説明を忘れたとしても、異常に高いPERを避けるべきだということは覚えておいて欲しい。損をせずに済む。ごく少数の例外を除いて、異常に高いPERは、競馬で蔵にハンデの重量をつけるのと同様にハンデになる。

 

PERの高い会社は、それを正当化するだけの高い収益成長力を持っているはずである。

 

将来の利益がわからない場合でも、その会社がどのように収益向上を図っているかは調べられる。そうすれば、定期的にその計画が実行されているかどうかをチェックすることができる。企業が利益を増大させるには五つの基本的な方法がある。コスト削減、値上げ、市場拡大、市場占有率拡大、そして赤字部門のテコ入れ、閉鎖、または売却。これらの要素を調査すればよいのである。

二分間の訓練

さあ、あなたが低成長株や優良株、あるいは急成長株や業績回復株、資産株、市況関連株のどれかに投資することはもうおわかりだろう。現在の株価が短期的に見て買われ過ぎか、過小評価されているかを知る方法としてPERがある程度役に立つこともわかった。次の段階としては、その会社の成長の可能性、あるいはそれを推進する材料は何なのかを知ることが必要になってくる。これが「ストーリー」と呼ばれているものである。

 

資産株の会社は別として、企業が収益性を保つために何か画期的なことが必要となる。それが何であるかがわかれば、より深くストーリーを理解できるだろう。アナリストの短い記事はプロの見方を伝えてくれるにすぎず、あなた自身がその会社あるいはその業界を深く知ることができれば、自分のレベルにあった有用で具体的なストーリーをつくることができるだろう。

 

株を実際に買う前には、その会社の魅力、成長性、弱点などを、もう一二分間だけ自問自答してみるとよい。子どもにも理解してもらえるまでに理解がこなれていれば、その会社の株にたいする投資準備は万全と言えるだろう。

 

自問自答のパターンとしては次のようなものが考えられる。もし、投資対象が低成長株であるならば、配当に留意したものになるだろう。

 

もし、市況関連株ならば、景気、在庫、市況などを考慮しなければならない。

 

もし、資産株ならば、何が含み資産で、どの程度の価値があるのかが問題となる。

 

もし、業績回復株ならば、その会社が変革に熱心であるか、またその計画は十分に機能しているかが問われる。

 

もし、優良株ならば、PERが最も重要な要素であり、すでに十分株価が上がっているのか、成長性増大の可能性があるのかどうかが注意を要するポイントである。

 

もし、急成長株であるならば、どの分野でどの程度まで今のスピードで成長し続けられるかが注目される。

 

以上はストーリーの基本的なテーマの一部であるが、詳しく知れば知るほどよいのだから、自分自身で必要なだけ付け加えればよかろう。常にそうだとは言わないが、私はストーリーの組み立てに数時間を費やす。

知って役に立つ幾つかの数字

売上げに対する比率

個性のある商品を持つ企業に対する私の最初の興味は、その商品がその企業にどれほどの影響を与えているかである。総売上高のなかのその商品のシェアは何%なのか?

株価収益率(PER)

もしコカ・コーラのPERが15倍なら、この会社は年率で15%の成長を期待できるし、もしPERが成長率より低ければ、それはバーゲン価格である。

 

一般的に、PERが成長率の半分だときわめて魅力的だし、PERが成長率の2倍なら非常に危ない。

負債項目 

その会社の負債はいくらあって、資産はいくら持っているのか?負債対資本の比率は?これについては銀行の貸付係があなたの信用度を調べて貸すことと同じである。

 

業績が急転している会社やトラブルのある会社については、私はとくに負債を注意して見ている。その会社が生き残ることができるか、それとも倒産するかは一にかかって負債なのであり、創業まもない、負債の多い若い会社には常にリスクがつきまとう。

配当

株価が20ドルの株が2ドルの配当をしていれば利回りは10%だが、10ドルに下がれば利回りは20%となる。したがって、投資家が配当率に納得できるのであれば、高配当ゆえにその株に投資することもあるだろう。当然、株価の下支えになる。

キャッシュフロー 

私は、設備投資にキャッシュを使わなくても事業ができる会社に投資するのが好きである。入ってくるキャッシュが出ていくキャッシュとせめぎ合う必要がない(資金繰りに困ることはない)からだ。

 

たくさんの人がキャッシュフローの数字を株式の評価に用いている。たとえば20ドルの株価に対して、標準とされている10対1の、2ドルのキャッシュフローがあるとする。キャッシュで10%のリターンは、長期に株を保有する人が期待する最低で10%のリターンとうまく噛み合う。

在庫

私はいつも在庫が増えていないかどうかに注目している。メーカーや小売りを問わず、在庫が増えるというのは悪いサインである。在庫の増加率が売り上げの伸びを上回っていれば、これはもうレッドカードである。

成長率

すべてが同じだとすれば、たとえば20%の成長率でPER20倍の会社と、10%の成長率でPER10倍の会社なら、前者を買うほうがいい。

ストーリーを再チェックする 

数ヵ月おきに会社に関するストーリーを再点検してみるとよいだろう。利益が予想どおりに保たれているかどうかといった収益の状況を調べること。それに、商品がまだ魅力を失っていないか、繁栄している雰囲気があるかどうか、店に行って調べてみるのもよいだろう。新しい事態が起こっていないか、とくに急成長会社の場合は、何が今後の成長を支えていくのかを問い直してみることも必要である。

 

会社の成長過程には三段階がある。本業の発展を成し遂げる始動段階、新規事業へ進展していく急上昇段階、もうこれ以上成長が難しい飽和状態に近づきつつある成熟段階、の三つである。これら三段階は、それぞれがだいたい7年くらい続く。

ポートフォリオをつくる

私の考え方としては、以下のような銘柄をたくさん保有することがベストである。①自分の得意な分野に関係する銘柄、②あらゆる調査の結果、非常に有望な見通しを発見した時。ポートフォリオ多角化のためにということで知らない銘柄を組み入れるのは賢いとは言えない。 おろかな多角化は、小口投資家にとっても鬼門である。

 

かといって、1銘柄だけ保有するのは、それほど安全ではない。あなたの最善の努力にもかかわらず、時に不測の事態の犠牲になる株かもしれないからだ。小さめのポートフォリオでは、3ないし10銘柄保有するのがよいと思う。複数の恩恵を受ける可能性があるからだ。

 

もし、10倍株を探し当てようとするなら、保有する銘柄が多ければ多いほど、その確率は増える。

 

10倍株が得られるとしたら、たぶん高成長か業績回復のカテゴリーだが、どちらもハイリスク・ハイリターンの分野である。株価の上がる可能性が高ければ高いほど、下がる可能性もまた大きい。もし、高成長にひずみが生じたり、あるいはかつての業績不振から立ち直りかけて再建途上にあったものが再び悪化するような場合には、全額を失うこともあるだろう。

 

こういったリスクとリターンを計るよい方法などないが、高成長株を4社、業績回復株で4社保有し、スリルを緩和させる意味で、ポートフォリオのなかに安定株を2社組み入れるというのもよいだろう。繰り返しになるが、分別のある買い方を心掛けるべきである。

 

あなたのポートフォリオも、歳を重ねるにつれて変化していく。この先まだ何年も働き続ける若い投資家には、投資収益で暮らす老いた投資家よりも、10倍株をつかむ機会がある。若い投資家ならミスをしてもそれが経験となり、投資キャリアを充実させるためになる時間が何年もあるからだ。

 

よりよい戦略とは、ストーリーとの関連で株価がどう動くかによって、株の組み入れを増やしたり減らしたりして循環させることだと、私は思う。仮に、優良株の1つが40%上がったとする、その先、うれしい驚きとなるような素晴らしい出来事が何もないと思えるなら、私はこの株を売って、まだ上がってはいないけれど、魅力的と思われる他の優良株と入れ替える。同じ状態で持ち株全部を売りたくないのなら、部分的に利食いをすればよいだろう。

 

私なら、業績も伸び続け、ビジネスも拡大し続けていて、障害になるものがない限り、高成長会社の株は持続する。そして、数ヵ月ごとに、はじめに聞いたストーリーがまだ生きているかどうかをチェックし、また2つの成長株を保有していれば、一方の株価が50%上昇し、そのストーリーの基盤が疑わしいと思えばそれを利食って、株価が下がり気味か、あるいは変わらずとも、ストーリーがよくなってきた第二の成長株への投資を増やすだろう。

 

市況関連株、業績回復株についても同じである。ファンダメンタルズが悪くなりそうで、株価が上がっているものは利食い、ファンダメンタルズがよくなり、株価が低いものに乗り換えるべきだろう。

 

よい株であるのに株価が下がっているものを、その価格でナンピン買いせずに逆に売ってしまうのでは、ただの悲劇にしかすぎない。私にとって、相場の下げは、ポートフォリオのなかで、将来有望だがまパフォーマンスの悪いものを買い増しする絶好のチャンスに思える。

 

もし、あなたが「株価が25%下がったら押し目買いする」という決心ができずに、「25%押したら売ってしまおう」という致命的に誤った考えを捨てることができないようなら、あなたは株式相場で正当な利益を得ることなど、決してないだろう。

売り買いのベスト・タイミング

つまるところ、もし、なぜこの株を買いはじめたかを知っていれば、いつ手放したらよいかも自動的にわかるだろう。さて次にカテゴリー別の売りのサインを検討してみよう。

低成長株を売るとき

株価が30~50%値上がりするか、たとえ株価が下がってもファンダメンタルズが悪化すれば、売ることにしている。

優良株を売るとき

PERが通常の範囲をはるかに上回るときにはそれを売って、また株価が下がったときに買い戻すか、あるいは他の安定株を買うとよいだろう。

市況関連株を売るとき

明らかな売りのサインは、在庫が積み増しされていて、会社がそれをさばけないときである。これは、値下げと収益圧迫を意味する。私は常に、在庫の増加には注意を払う。駐車場が在庫の鉄塊でいっぱいになったときは、明らかに市況関連株を売る時期である。実際には、それでも少し遅いかもしれない。 

急成長株の売りどき

ここで肝心なことは、10倍株の候補を失わないようにすることである。一方、もし会社がおかしくなり、減益になると、投資家が株価につけいていたPERも悪化する。忠実な株主にとっては非常に高くつくダブルパンチである。

業績回復株の売りどき

業績回復で買った株は、業績が転換点を越えた時点で売るのが一番である。すべて困難な問題は過去のものとなり、以前の成長会社、市況関連会社などに戻っており、もう株主をまごつかせることもない。

資産株を売るとき

最近では資産株を売る最良の方法は、乗っ取り屋を待つ、ということに尽きる。 

株価についてよく聞く多くの馬鹿げた(そして危険な)話

原則として、株価がどこまで下がるかということに、ルールなど1つもない。

 

底値で株を買うという手法は、一般の投資家がよくやる手だが、たいては逆にひっかかってしまうものだ。下落している株を底値で拾おうというのは、落ちてくるナイフを素手でつかむようなものである。ナイフが地面に突きささり、しばらく揺れ動いた後、しっかり止まってからつかむのが、正しいやり方である。下落している株を急いでつかめばみじめな結果になる。

 

もし業績回復株に興味があるのなら、株価はずいぶん下がってしまっていると思うだけでなく、もっと確かな理由づけが必要である。たとえば業績が上向いていると確認できるとか、バランスシートを見て、現金だけで11ドルの価値はあるのに株価は14ドルしかしていないとか。

 

ポイントは、株価がどこまで上がるかということについては、はっきりした限界などない、ということである。ストーリーが正しければ収益は改善し続けるし、ファンダメンタルズに変化がないのなら「これ以上上がらない」などというのは、知ったかぶりの恐ろしい言い訳である。

 

私の経験では、落ち込んだ株は、戻ったら売ろうと決めている線まで戻ることはない。私はこういうケースになりそうなとき、その株は買い増しするほどよいと思うか?と自問自答し、答えがノーだったらただちに売り払うことにしている。

 

あなたが夢中になっているのに他の人は無視しているような株を保有し続けるには、たいへんな忍耐を要する。ほかの人々が正しくて、自分が間違っているのではと思い始めるだろう。しかし、ファンダメンタルズさえ約束さえているなら、我慢は必ず報われる。

 

誰かが利益を得たということは自分の損失だという考え方は、株式投資では健全な態度とは言えない。事実、そういう考え方は多勢のノイローゼ患者を生むだけだ。

 

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