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ヨシヒロの読書ブログ

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ストラクチャーから書く小説再入門 第7章

第7章 第2幕の前半 

作品中、第二幕は最も大きな部分を占めるもの。全体のおよそ50%に当たります。これを三つの部位で考えていきましょう。(1)前半、(2)ミッドポイント、(3)後半です。

第2幕前半

物語全体の中で見てみると、第二幕前半はプロットポイント1から全体の50%地点の間に相当します。プロットポイント1で大きな転機に遭遇した人物たちは強く反応します。その反応が次の反応を引き起こし、第二幕前半が進んでいきます。

 

主人公に筋の通った反応をさせなければ、第二幕以降はうまく進みません。だから、第一幕での人物紹介が大切なのです。

 

人物の人柄をどう紹介するかは、プロットポイント1に対する反応を考慮して決めましょう。後の転機にふさわしいもの、予兆を感じさせるもの、対比を見せるものを選びたいです。

 

プロットポイント1での転機は状況を激変させます。もはや人物は後戻りできず、リアクションに迫られます。人物のリアクションに対して敵対者も反応を返し、それを受けてまた人物も反応します。物語のど真ん中、ミッドポイントに至るまで「やられたら、やり返す」を様々なバリエーションで繰り返していきます。

ピンチポイント1

第二幕前半の終わり頃、主人公は「ピンチポイント1」に遭遇します。敵対者が腕を振りかざし、強大な力を見せつけてくるところです。ミッドポイントがくる前に今一度、読者に敵の力を思い出させ、主人公に作戦変更を迫る流れを作ります。また、危機感を高め、クライマックスの伏線を張るのもピンチポイントの役目。

 

ピンチポイント1では敵が主人公の弱点を突いたり、主人公が負けそうになって嘲笑や叱責を受けたりします。

 

この部分を敵対者の視点で描く場合、主人公を倒す計画を明かすだけになるかもしれません。

まとめ

1 プロットポイント1では転機と共に、人物の強い反応を描く。

 

2 人物の暮らしや将来の計画がひっくり返るため、人物はそれまでと違った手段で対応しなくてはならない。特に、メインの敵対勢力に対して。

 

3 第二幕前半はストーリー全体の四分の一を占める。深いレベルで様々なリアクションをさせよう。

 

4 人物たちの連鎖反応でプロットを前進させる。シーンやサブプロット、テーマを絡め、深めるようなリアクションを描くこと。

 

5 第二幕前半では、最終バトルで必要な技術や品物などを得ることがよくある。

 

6 第二幕前半の終わりでは、敵対者からの圧力がかかる。敵対者の力をはっきりと見せておく。

 

第二幕の前半は人物描写を深め、先の展開への伏線を張るところ、テンポが速いアクション物も、ここでは落ち着いたペースで描写を進め、クライマックスへの下地にします。

ミッドポイント

第二幕のど真ん中で、すごいことを起こしましょう。

 

ミッドポイントの役割は、中盤をぐっと引き締めること。それまで描いてきた人物のリアクションを締めくくり、人物に行動をスタートさせて第三幕に導きます。プロットに大きな影響を与えますから、二度目の第転機といってもいいでしょう。ストーリーの流れが変わり、人物の反応もストーリーを変えていきます。しかし、もう人物は受け身ではありません。自らの意思で行動し、敵対勢力に対抗します。

 

ドミノ倒しに例えると、、ミッドポイントは曲がり角。第二幕前半のリアクションの連鎖がくるっと向きを変える、大きな局面です。論理的な流れに沿いつつ、まったく新しい方向へ物語を展開せねばなりません。

 

例えば、主人公が捕えられる。重要人物が死ぬ。もう少し控えめな出来事でもかまいません。

 

ミッドポイントで、人物は反応するだけの状況から脱却します。この先サバイバルするには、守りから攻めに転じることが必要です。と言っても、敵の城壁めがけて突進するだけが「攻め」ではありません。もう「それ」はご免だ、と何かをし始めるのも「攻め」の姿勢です。